「ガースー」の「Go to トラベル」は「Go to ”トラブル”」(1)
〜国民には自粛を強い、会食する首脳達


栗野的視点(No.719)                   2020年12月25日
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「ガースー」の「Go to トラベル」は「Go to ”トラブル”」
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 一体どうなっているんだ、世界の政治指導者は。どいつもこいつも危機感がなさ過ぎる。危機感を持ち、国民に訴えているのはどいつだ。いやドイツのメルケル首相だけだろう。
アメリカのトランプに至ってはまるでカードのジョーカーを持っているかの如くに振る舞い、COVID-19が国内であれだけ蔓延し、死者数が第2次大戦時を上回っているというのに米国民に対策を促せもせず、自らフェイクニュースを流し続け、国民の対立を煽り、国内を二分した罪は重い。

国民には自粛を強い、会食する首脳達

 彼は後世の歴史家によってリンカーンと並び称されるに違いない。もちろんリンカーンの対極に位置する大統領として。あるいは戦争にもよらずアメリカ国民を30万人以上殺した大統領として。
 因みに第二次世界大戦で亡くなったアメリカ兵は29万1557人なのに対し、COVID-19による死者数は12月14日で30万人を超えている。

 COVID-19の感染者数が増加しているフランスでは7人以上での会食を控えるよう政府が国民に呼び掛け、再度の規制強化に乗り出した。ところが、その矢先にマクロン大統領の感染が判明。その前夜(16日)に与党幹部や大統領府高官ら10数人と長時間に渡る会食をしていたというから何ともはやというか、どうしてこうも政治家は緊張感、危機感がないのだろうか。

 そう言えばこの国でもCOVID-19の感染拡大を受けて、政府が5人以上の会食自粛を呼び掛けた夜(14日)に首相、自民党の幹事長らが8人で会食をしていたことが明るみに出た。
 会食メンバーは政府、自民党関係者で今後の対応協議かと思ったが、そうではなく、みのもんた、王貞治、杉良太郎などの諸氏と二階幹事長ほかとのことだから単なる会食、懇親会。実際、杉良太郎氏はメディアの問いかけに「忘年会」と答えていたから「不要不急」の会食なのは間違いない。

 さらに驚いたのは、その翌日も翌々日も、いや12月はほとんど毎日、菅氏は会食を続けている。ここまでくると「会食漬け」中毒と言っていい。まあ、呼ぶ方も呼ぶ方だが、それにホイホイと出かける方も出かける方。その中には政府の「広報担当」とも言うべき元新聞記者の田崎某も入っていたから呆れる。そうTVで安倍前首相と親しい関係を嬉しそうに自慢していた、あの御仁だ。もうコメンテーターとしてTVに出るのは辞めた方がいいだろう。いや番組に呼ぶTV局の方が問題か。

 呆れると言えば西村康稔経済再生担当大臣の衆院内閣委員会での答弁。「一律に5人以上がダメだと申し上げているわけではない。強制力があるわけでもない」「長時間、大人数はリスクが高い。できるだけ控えていただきながら、どうしてもされる場合には感染防止策を徹底し、アクリル板のある店を選ぶとか、換気に注意してください」と、のたもうた
 また加藤勝信官房長官は15日の記者会見で「首相は必要な注意を払っている。会食目的と感染防止対策のバランスの中で個別に判断することが重要」と述べ、ともに菅首相を庇っている。
 これを聞いた国民は「上級国民は許される」と諦めるのか、それとも「5人以上の会食でも自粛する必要はない」と受け取るか。「感染防止に努め、換気に注意していた」と言いさえすればいい、と受け取る向きもいるだろう。だって、首相が5人以上で「忘年会」を行い、官房長官や大臣が「必要な注意を払っている」から問題ないと言っているのだから。
                            (2)に続く



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