権力者は災害を利用して独裁化を加速させる。(3)
コロナウイルスに怯え、過剰反応のリーダー達


過剰に反応する各国リーダー

 「今の時代は戦前当時に酷似している」。戦中世代からそう警鐘を発せられることが増えているが、私を含め国民の大半が戦後生まれ世代になり、戦前の状況を知らないからピンとこないのも、ある意味仕方がない。それでも知的想像力があれば追体験することはできるが、今の時代の怖さの底流にあるのは世代を通じて知的想像力を欠いてきたことだ。

 知的想像力を欠いた群衆は批判精神を持たない。関心は身近なことに集約され、誰かが何かを言えば皆で同調したり、反対したりしてストレスを発散しようとする。それは付和雷同、一種のお祭り騒ぎ好きであり、今回の新型コロナウイルスによるトイレットペーパー騒動をSNSで拡散したのも、知的想像力のなさから深く考えずに発信したのだろう。

 いま日本はもとより世界中が新型コロナウイルスに怯えている。多分に過剰反応ではないかと思わぬこともないが、各国リーダーはこの機をとらえて支持率向上に結び付けようとしている風がある。
 トランプ米大統領も新型コロナウイルスを「チャイナウイルス」とTwitter(ツイッター)でツイートしたり、「アメリカは制御できている」と言い続けていたが、17日には急に「ずっと前からパンデミック(世界的流行)だと感じていた」と発言。
 またフランスのマクロン大統領は17日正午(現地時間)から15日間、外出禁止宣言をしたばかりか、違反者には「最大135ユーロ(約1万6000円)の罰金を科す」とまで発表。さらに「ウイルスとの戦争中だから散歩も公園もダメだ」とまで言ったのは明らかに行き過ぎだろう。

 これではまるで戒厳令。世界中が「見えない敵」に怯え、戦々恐々として過剰反応しているとしか思えないが、政治家が本当に怯えているのは自身の支持率低下で、その下落が見えてきたので怯え、過剰に反応しているとしか思えない。
 こういう時、本当に必要なのは「フェイクニュースの類に踊らされるな」「今、国は〇〇の対応をしているから落ち着いて冷静に行動するように」と国民に訴えることで、国民の不安を煽ることではない。

 国民が不安に駆られるのはメディアも挙げてウイルス感染による死者と感染者数の増加を発表して不安を煽っているし、どこの政府も情報をオープンにしないから疑心暗鬼に陥っているからで、情報に踊らされていると言っていい。情報過多時代のパニック現象だ。

 日本でも学校の一斉休校「要請」が突然出され、全国の学校は対応に追われたが、そういう中でも政府の「要請」に従わなかった学校が各地で散見された。責任逃れの事なかれ主義が蔓延る教育関係機関で自分達の頭で考え、授業の継続を決めたのは評価したい。
 実際、早い段階から子供の感染は確認されていないと言われていたし、台湾の小中高校は以下のように決め、授業を継続している。
 1.1クラスで1人が新型コロナウイルスに感染したと確認されたら学級閉鎖する。
 2.1校に2人以上の感染が確認されたら休校にする。
 日本もこれに習うべきだった。感染者が1人もいない県までが休校にする意味はまったくない。にもかかわらず全国一律に休校「要請」をすることは不安をいたずらに煽る効果しかない。しかも、それを政府が突然発表したのだから、そのニュースに接した国民は「それほど大変なのか」と思い、さらなる不安に怯えただけだ。

 緊急時程、冷静な対応が求められるが、政府(安倍首相)はなぜ率先して不安を煽る挙に出たのか。
 一般的に大衆迎合主義のトップは支持率を気にする。理念、信念がない分、支持率の低下に弱い。加えて安倍首相は世論の批判を浴びれば体調を崩すほど打たれ弱い。そしてネットの評判を気にするあまり過剰に反応して「先手」を打ったのが一斉休校「要請」だったわけだが、彼が放った「2本目の矢」にはキナ臭さを感じる。                                    (4)に続く


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