デル株式会社

 


「コロナ」閉店・倒産ラッシュが始まっている。(2)


西友グループは再び身売りか

 こうした予備軍に入るのかどうかというグレーゾーンにいる企業はもっと多いだろう。例えば西友グループ。北部九州ではスーパーサニーが西友グループだが、同グループは6月にカード優待割引デーを停止した。
 同グループは第1、第3土曜日を西友カードでの支払いで5%割引になる特典を導入していたが、6月はこの特典を停止した。3密でCOVID-19感染を防止する目的のようだった。
 ところが7月になって、6月に引き続き7月も5%割引を停止すると打ち出したのだ。他の小売りチェーンで同様の対応をしたところはない。ショッピングモールの専門店街を閉鎖したところはあっても、割り引きデーを停止したところはない。ましてや7月に。

 こうなると別の理由が疑われる。減益額を少しでも低くしたいのではないか、と。それは取りも直さず、同グループの経営が厳しいということを意味する。
 そういえば昨年、西友グループの身売り説が流れたことがある。ご存知の方もいるだろうが西友グループは米国ウォルマートの傘下に入っているが、親会社のウォルマートが西友グループを手放したがっているという噂が、その筋で流されていた。
 ウォルマートが日本進出の足掛かりに西友を傘下に収めたのはいいが、思ったような効果が出ないどころかウォルマートにとって足手まといになりだしていたのだ。そこにもってきてCOVID-19が米経済を襲った。
 実店舗からネットへの消費者の流れは今回のCOVID-19でより加速された。ネットへの転換が遅れた米ウォルマートにとっては大打撃で、日本市場への本格進出を云々する状況にはない。それどころか本体の存在そのものが危機に直面しているとすれば西友の身売り話はより現実味を帯びてくる。といって、この状況下で引き受け手が見つかるとも思えない。もちろん売却額にもよるが、ウォルマートにすれば二束三文で売却するつもりはないだろうから。
 そう考えると西友グループの月2回のカード優待デーは8月以降も続く可能性もありそうだ。

狂想曲の責任は政府に

 問題はこうした閉店・倒産ラッシュを「COVID-19関連」という言葉だけで片付けていいのかということだ。
 「悪いのはウイルス」なのか、「ウイルスのせい」でいいのか。政治の失敗は問わなくていいのか、失政はなかったのか。「専門家会議」のミスリードはなかったのか、そこの責任は問わなくていいのか。

 私はノーだと考える。明らかに政治が果たした負の役割はあり、それは問われなければならない。
 もう一つは「専門家会議」のミスリードだ。この点に関しては当初から私は指摘しているが「8割接触制限」などという現実生活の中でありえない「行動様式」を提唱したり、「新しい生活様式」みたいなバカげたことを感染症等の専門家が、自分達の専門外の領域にまで口を出して提唱した罪は重いだろう。そういう意味では「専門家会議」の廃止には賛成だが、その間の議論内容や意思決定過程、政府が果たした役割はきちんと明らかにすべきだし、全国知事会での議論内容も明らかにする必要がある。

 言うなら不必要に「自粛」を要請し、人々を必要以上に怯えさせ、県を跨いでの移動自粛というさほど効果もない要請をし続けた責任は大きいだろう。
 感染者数より死亡者数、重篤化をいかに防ぐかが重要と言い続けてきたが、今頃になって「単純に感染者の人数だけみても仕方ない」と官邸が言い出したり、政府のCOVID-19対応で中心的な役割を担ってきた人の中にも「高齢者ら死亡リスクが高い人に影響が及ばなければ、軽症の人は気にしなくていい」と言い出し始めている。
 経済を優先するための言葉である点を差し引いても、「コロナ狂想曲」から一部の人が少し冷静になりだしたということだろう。私にしてみれば今更なにをという感じはするが。



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