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「COVID-19」報道に接して感ずるいくつかの疑問(3)
政府のカネの使い方に対する疑問


6.政府のカネの使い方に対する疑問

 今回、政府の対応でもっとも疑問を感じ、納得いかないのはカネの使い方。「アベノマスク」に要した466億円は壮大な無駄遣いと言っていいが、なにより問題だと感じるのは対策がすべて受け身の防戦なことだ。
 防戦には受け身一方の防戦と積極的防戦がある。前者の防戦は退却一辺倒で、最後には尻に帆を掛けて総崩れになる。どうも今それに近い状態になりつつあるように思う。

 一方、後者の積極的な防戦は戦いながら退く戦法。この場合、重要なのは殿(しんがり)を務める部隊の存在で、ここが強いか弱いかで全軍の帰趨が決まる。
 明治以降の日本軍の戦い方は総攻撃一辺倒か総崩れで、殿部隊をしっかり据えた積極的な退却はない。一応、形ばかりの殿部隊は置くが、踏み止まれるだけの輜重(武器弾薬、食料)を与えず、与えるのは「大和魂」という精神論のみ。文字通りの捨て石である。
 結局、最後は自決と同意語の無意味な総攻撃。これが南方戦線や沖縄戦線で旧日本軍が取った戦法である。
 これでは勝てるわけがないと今では誰もが考えるだろうが、実は今同じことが行われている。

 今回に即して言うなら最前線に踏み止まり戦っているのは医療関係機関、医療関係者である。ここへの支援を優先的、重点的にすることにより相手の攻撃を防ぎ、国民はひとまず安全な場所まで退き、残った医学関係者等は総力を挙げて反撃の準備をしなければならない。
 反撃の準備とはSARS-CoV-2の正体を探ることである。彼を知り己を知らば百戦するも危うからず、という孫子の兵法を持ち出すまでもないだろうが、まず相手のことを知らなければ有効な対策が打てない。
 データを集め、分析し、情報を共有する。そうしながら抗ウイルス薬、ワクチンの開発に全力で取り組む。その後押しを国が全力でする。

 要は最前線で戦っている医療機関・関係者への人的、金銭的支援である。ここに輜重を注ぎ込まなければならないのに、逆に彼らを孤立させている。やっと遅まきながらも少しそちらに動き始めたが、焼け石に水というか、砂漠に水一滴程の効果もない。
 466億円を初期段階で医療機関・関係者に回し、彼らの活動を支えていれば、ここまで国民が怯え、退却一辺倒になることもなかったのではないだろうか。

 もう一つ国民が安心できないのは感染者数と死者数の発表ばかりで、内訳の分析がないこと、後方の医療機関の動きに対する情報が出されないからではないだろうか。
 積極的防戦で被害を最小限にとどめたのは台湾と韓国。それに今ドイツが続こうとしている。また独裁国家特有の乱暴かつ強権的なやり方でCOVID-19を封じ込め、武漢以外への感染拡大を防いだ中国もあるが、我々が見倣いたいのは台湾、韓国のやり方だ。
 因みにこの両国に共通しているのは島国という点。台湾は分かるが韓国は違うと思われるかもしれないが、韓国が国境を接しているのは「北朝鮮」のみで、南北の往来はないから事実上、島国と同じである。
 ということは日本もこれら両国と同じ島国。当初から積極的防戦策で医療機関・関係者への支援を手厚くしていれば、ここまで怯えさせられなくて済んだのではないだろうか。

 最後に、この騒動が収まった後の死者数の分析をぜひしてもらい。COVID-19の直接的な原因ではなくて亡くなられた人がどの程度いるのか。COVID-19が直接原因ではなくても間接的な原因、つまり運動不足やストレス等により持病を悪化させ亡くなられる方の増加を心配しているからだ。
 その辺りの事後分析をきちんとしておかないと、また同じようなことが起きた時に、さらに輪をかけた同じような対応しかできなくなる。


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