「ブレーキとアクセルの踏み間違い」について考える(3)
〜ブレーキとアクセルペダルの位置が近すぎる


左足でブレーキを踏む

 それよりは現実的な解決策の提案がある。それは左足でブレーキを踏む運転スタイルだ。MT車の時はクラッチを左足で踏むため左足は活用されていたが、AT車に変わった途端に左足は所在なく、ただ遊んでいる。ご丁寧に左足の置き場が作られはしたが。
 同じ置くならブレーキペダルの上に置き、右足はアクセル、左足はブレーキと両足の役割を分ければ踏み間違いはなくなるというわけだ。
 この方法はレーシングカーの運転スタイルだが、一般車でもこの方法で運転している人は以前から存在する。実際、私の知人でこの方法で長年運転している人もいる。

 この方法の利点は両足が常にペダルに接している点。つまり右足を左右に移動させる動作がないから踏み間違いはまず起こらない。ただ、慣れるまでに熟練を要するということだろう。
 私自身この方法を試してみたが、頭も体もしっかりAT車に慣れているから今日から左足でブレーキを踏む運転スタイルで行くというのは無理で、慣れるまでに時間がかかりそうだと感じた。

ベンチャーが開発した画期的な装置

 3つ目はアクセルとブレーキを1つにする方法。アクセルペダルにブレーキの役割も持たせ、そのままペダルを踏めばブレーキがかかり、右足を右側に押せば(ずらせば)アクセルになるというもの。とにかくペダルを踏めばブレーキがかかるから、ブレーキを踏んだつもりでアクセルを踏んで加速したというミスはかなりの程度防げる。
 この装置を開発したのは九州の小さなベンチャー企業で、10年余り前からコツコツと既存車を改造し取り付けている。利点は新たに車を買わなくても、現在乗っている車に少し改造を加えるだけでできること。いまのところ利用者の評判はいいようだが、1点1点オーダーメードなのと数人で行っている小さな工場なので数がさばけない。
 小さなベンチャー企業、それも開発者が年配の場合、すべてを自分で抱え込み、他社と提携・連携しようとはしないから、いい技術や製品でも中々広まらない。

両ペダルの位置を離せ

 以上、ブレーキとアクセルの踏み間違いを防ぐ3つの方法を紹介したが、最後に私的な提案を一つ。
 そもそもブレーキとアクセルの踏み間違えはなぜ起きるのか。これは次のように言い換えることができる。なぜアクセルペダルをブレーキペダルと勘違いして踏んでしまうのか、と。
 それは両ペダルの位置が接近しているからである。もう少し両ペダルが離れていれば踏み間違えは起きないはずだ。

 私的な経験を言えば登山靴かそれに近いごつい靴を履いている時、ブレーキとアクセルの両方に靴がかかりそうになったことがある。また逆にアクセルペダルを緩めようとした時、靴がブレーキペダルに引っかかって戻らなくなることもあるし、登山靴などのように靴底が分厚いと足裏の感覚が鈍くなるので、意識しないとどちらのペダルを踏んでいるのか分かりにくい。
 こうしたことを防ぐためにも両ペダルの位置はもう少し離した方がいいと思うがどうだろう。

 さて以上4つの方法の内、最も実施される可能性が高いのはどれだろうか。答えは言うまでもないだろうが、自動ブレーキシステムだろう。それがAI(人工知能)搭載車の第一歩だから、という理由からではない。それが自動車業界を始めとした幅広い業界と政府機関、警察関係の利益につながるからである。常にいいもの、シンプルなものより、儲かるものが流行る社会である。




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