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「2000万円」問題の裏に隠されていた本当の恐ろしさ(3)
〜2019年ではなく「1984年」


2019年ではなく「1984年」

 このことの方が「2000万円」云々より、よほど怖い。自分達が任命した人であれ、自分達の意に沿わない意見は聞かない、認めないと言っているのだから。
 これでは中国や北朝鮮の現政権と同じではないか。政府の言うことが絶対で、政権に楯突いたり、違う意見を述べる者は認めない、逮捕するというのと同じだ。
 実際、中国では1国2制度を50年維持すると言っていた香港政策を変換し、中国政府に批判的な書物を扱う書店経営者を中国本土に拉致したり、日本の大学教授が中国に行ったまま消息不明になり、数か月後、中国政府の某機関に「事情聴取」されていたことが後に判明している。
 今のところ中国で「行方不明」になっているのは中国籍の人間だけだが、その対象がいつ他国籍人にまで拡大されるかもしれない。

 有識者会議が議論し、まとめた報告書を「受け取らない」「認めない」というのは政権と異なる意見は認めないという独裁であり、トランプ米大統領の「フェイクニュース」発言と同次元、いや、それ以上の危険性を孕んでいる。
 しかも、その傾向は自民党内で確実に広がっているからよけいに恐ろしさを感じる。不信任案を提出した野党に国会の場で「愚か者」と罵倒した発言がそのことを如実に示している。

 一体、この国は、自民党はどうなっているのだろう。そして国民は。「ゆでガエル」にされて、怒りを忘れてしまったのだろうか。
 いや、そうではない。私が認知症で、今は2019年だと勘違いしているのかもしれない。本当は「1984年」なのではないか。そう考えればすべてに納得がいく説明ができる。
 毎日、歴史は「記録局」により書き換えられているから、人々は最初の数字がいくらだったのか分からなくなり、政府が発表する数字を信じるしかない。それでもまだ、この国の新システムは完全ではなく、時々、不完全な書き換えが見つかる。それを何度か追及されると、記録がないはずの議事録が突然見つかったりするが、その度に「正式な議事録ではない。メモ程度のものだ」という言い訳で逃れている。
 しかし、それもやがてなくなるだろう。すべては大本営ならぬ政府発表の数字が正しくて、メディアもそれを鵜呑みにして発表するか、政権に忖度して露払いの役を務める存在になっていくのだろう。

 どこにいても、なにをしていても、すべて「テレスクリーン」で行動を監視され、自由にものを考えることさえ奪われた国民は従順になり、巨大な「テレスクリーン」の前で「ビッグブラザー」を大声でたたえる「1984年」。
 そう、今は2019年ではなく「1984年」なのだ。そう考えれば、今起きていることが説明できる−−。


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