モバイル機器の強い味方!予備バッテリー特集

 


言葉の短縮は思考の短絡を招く(3)
 
〜ツイッターを使いたがる政治家


ツイッターを使いたがる政治家

 政治家の中にもツイッターを活用する動きが増えている。代表的なのはアメリカ大統領になったトランプ氏だ。彼は既存メディアをフェイクニュースを流すと非難し、自分の意見をツイッターで流している。それだけならいいが、公式会見を開き表明すべき政策や見解までツイッターで発信しているのは問題だ。これでは公私の区別がつかない。

 公私混同はトランプ氏の常套手段である。彼には一国の大統領としての自覚もなければ、彼の辞書には「利益相反」「公私混同」という文字はなさそうだ。その時の気分で、ほとんど怒りにまかせてツイートしている。でなければ娘イバンカのブランド商品がデパートで取り扱い中止になったことに腹を立て、ツイッターでイバンカは「非常に不公平な扱いを受けている」と発言したりするだろうか。仮にも大統領である。一私企業のトップではない。一私企業のトップでも上記の発言は問題だろうが。

 日本でも短文使いの政治家はいた。小泉元首相が有名だが、彼の場合は政治的な範囲に限られており、トランプ米大統領のようにプライベートや身内のことに関して言及することはなかった。
 既存メディアを含め、自分を批判するものに対し激しく攻撃するトランプ氏に似ているのは小泉時代から少し下って、「200%ない」と言いつつタレントから出馬した関西の政治家だろう。いまから思えば彼はトランプ氏に先駆けていたわけで、後に彼のような政治家が世界のあちこちで出現する前触れだったといえる。

 権力を握っている政治家、それもトップ権力を握っている政治家から名指しで非難されれば誰でも萎縮してしまう。とりわけ経済界は。
 まずフォード自動車が従った。トランプ大統領による度重なるツイッター攻撃でメキシコ工場建設を断念した。当然、トランプ氏の方はツイッターを使った攻撃が効果ありと考えるから、次々に固有名詞を挙げて非難する(脅しをかける)。固有名詞を挙げ、標的にされた(と思わせられた)企業はビジネスを天秤にかけて恭順の意を表す。ソフトバンクは事前に擦り寄り、トヨタも続いた。
 アメリカ企業はまだ抵抗の姿勢を見せているところが多いが、それでも兵糧攻めにされると、この先どうなるか分からない。

 ツイッターでツイートする方法は使える−−。そう考えた政治家がヨーロッパで見られ出した。台頭してきた極右勢力の代表者達だ。彼らはトランプ氏に倣えとばかりにツイッターを政治的武器にし出した。短文で話す方が楽だからだ。「楽だ」とは言葉の意味や概念を説明することなく喋れるからだ。
 短文だから短時間に繰り返し短い言葉を発するようになる。しかもほとんど同じような内容を。それはまるで連打するように「フォロワー」の感情(理性ではなく)に訴えかけることができる。
 本来、政治家は言葉を大事にしなければならないし、また言葉を大事にしてきた(言葉に責任を持ってきた)人間だが、近年、その傾向はどんどん少なくなっている。かつて「軽薄短小」という言葉が流行ったが、まさに政治家の言葉こそ軽薄短小。軽く、薄っぺらになってきた。その結果が短文使いだ。なんとも不気味な時代になってきた。

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