中小・ベンチャー企業にとって最大の課題は資金調達をどうするかだ。
資金調達といえば銀行の融資、公的資金の借り入れなどが思い浮かぶが、こちらが必要としてない時に「借りてください」と言い、必要としている時には貸し出しを渋るのが銀行である。
それでも必要に迫られて窓口に行くと、やれ担保だ、保証人だと要求される。
一方の公的資金は金利が安いのはいいが使い道が限られる。
ではと、個人からの借り入れに頼る場合は必要額が調達できるかどうか不安だ。
もう少し資金的な余裕があれば、経営が楽になるだけでなく、思い切った手を打てたり、チャンスを逃すこともなかったのにと、今更のように嘆いている経営者は多いに違いない。
特にベンチャー企業のようにまだ大威張りで言えるほどの実績も信用もない企業はなおのことだろう。
そこで一考して欲しいのが「私募債の発行」である。
私募債といえば大企業が発行するもの、上場を狙うような企業が上場前に発行するものというようなイメージがあるかもしれないが、最近ではむしろベンチャー・中小企業の資金調達の方法として注目されているばかりか、実際に私募債を発行するベンチャー・中小企業が増えている。
何故なのか。
1.担保や保証人がいらない。
金融機関からの借り入れの場合は担保や保証人をすぐ要求されるが、私募債の場合はそれらが不要だ。しかも、融資の場合は毎月の利払いと元本返済が必要になるが、私募債の場合は償還期限まで元本の返済をしなくていい(利払いは必要)。
ということは、集めた資金を償還期限まで思い切って運用できるわけで、自由になる手元資金が融資の場合とは比べものにならないということである。
2.小規模会社で発行できる。
銀行など間接金融からの資金調達でなく直接金融といえばすぐ市場から資金を集める株式公開とか増資という手もあるが、私募債の発行は手続きが非常に楽な上、会社規模が小さいところでも発行できるのがミソだ。
3.経営権が守れる。
増資の場合は借り入れとは異なり返済の必要はないが、その代わりに出資者は株主になり経営に対して参画する権利を持つ。
ということは、安易に増資を繰り返していると経営権が脅かされることにもなりかねない。その点、私募債の場合はそうした心配がない。
さらに詳しい情報、実際の発行に当たっての注意点などは5月20日のリエゾン九州5月例会で。
講師は長年、太田昭和監査法人(現、新日本監査法人)で上場担当をしていた公認会計士で、昨年退職・独立。現在、北九州ベンチャーキャピタルを設立し、代表として引き続きベンチャー企業のサポートをされている広瀬隆明公認会計士。 |