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グローバル化が招いた食の危険
〜上海福喜食品の期限切れ食肉問題(1)



 食の安全・安心はどこへ行った! そう感じさせる出来事が近年相次いでいるが、深刻度では中国・上海福喜食品の期限切れ食肉販売事件がトップだろう。
 問題はなぜ、このようなことが行われたのか。上海福喜食品の鶏肉だけが問題で、ほかは問題ないのか。影響は日本マクドナルドとファミリーマートだけなのか。問題の背景はどこにあるのか。今後、類似した事件が起きる可能性はあるのかどうかーー。

中国で常態化している食の汚染

 数日前、中国の知人人から「福岡に戻ってきました」と、スカイプでメッセージが届いた。この5-6年連絡が取れず心配していたが、ビジネスは順調のようだった。北京に住みながら、福岡にも住居と事務所を構え、中国と日本を行き来しているから、そこそこ稼いでいるのだろう。
 会うといきなり「痩せましたね」と言われたが、彼も一時よりは少し痩せて見えた。健康に留意しだしたのだろう。「日本の生活が一番いいですよ。食べるものが安心できる。中国ではなにが入っているか分からないから不安」と言う。
 最近、インターネットのショッピングモールに出店し、日本製品を中国で販売しているようだが、これが結構人気らしい。話を聞くと中国の若者の間でも自然志向、安全意識が高まっているらしい。
 そうした中で起きた上海福喜食品の腐敗鶏肉混入事件は中国内でも大きく取り上げられ、問題にされているようだ。

 この事件を報じるニュースをTVで最初に見た時、よくビデオ撮影できたものだなと感心した。まさかビデオを回していることを知りながら、床に落ちている食肉を混ぜたり、期限切れし変色している食肉を堂々と混入したわけではないだろうと思うが、隠し撮りにしてもよく映像に収めることができたものだ。
 潜入取材は2か月間に及んだらしいが、中国メディアのジャーナリスト精神にまず感心した。

 驚いたのは、カメラの前で(撮影を知らなかったのだろうが)なんら悪びれる様子もなく、床に落ちた食肉を戻したり、期限切れで変色し、カビが生えていると思しき食肉を混ぜ、そのことを指摘されると、「割合が問題だ」「期限切れでも食べても死にはしない」と嘯いていたことだ。
 腐敗食肉の比率が多ければ味の異変に気付くから、気付かないギリギリの比率で腐敗食肉を混ぜるのが技術だとでも言いたそうな態度。さすがに、これには中国国民も怒った。

問題は上海福喜食品だけではない

 それにしても、近年、中国における食の汚染問題はあまりにも多く、かつ深刻だ。以下に主なものを列挙してみる。
 2003年、中国茶からDDTが検出
 2004年、成都市や四川省で作られた漬物から残留農薬が検出。
 2007年5月、中国製原料の中に有害物質メラミンが見つかり、米国でドッグフードとキャットフードが自主回収。
 2007年12月-2008年1月、中国製冷凍ギョーザ中毒事件
 2008年7月、メラミン入り粉ミルクを飲み、乳幼児が6人死亡。
 2010年、下水道の汚水を精製した油を食用油として中国の飲食店で多数使用されていたことが発覚。
 2011年2月、
 2011年3月、重慶市のウォルマート・ストアーズ店舗で期限切れの食肉が販売されていた。
 2012年12月、ケンタッキー・フライド・チキンとマクドナルドに供給されていた鶏肉から過剰な抗生物質が検出。
 2013年3月、上海市の主要水源の1つで豚の死骸約1万6000頭が見つかる。
 2013年5月、ネズミ等の肉を羊肉と偽装販売していた犯罪組織を公安当局が摘発。
 2014年1月、ウォルマートの中国事業で、商品のロバ肉製品にキツネ肉が混入していたことが発覚し、自主回収。

 こう見てくると問題はほぼ中国全土に広がっていることが分かる。これでは鶏肉に限らず広く中国製食材の安全性を疑わざるをえない。
                                           (2)に続く

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