SIMフリースマホを使って分かったこと
〜メリットと注意点(2)


ソフトバンクユーザーは要注意

 政策の人気取りもあり、国は携帯電話(主にスマホ)の通信料の引き下げ圧力を強めているから、来年から少し通信料金は下がりそうだが、逆に端末機器を「実質無料」で手に入れられなくなる可能性が高い。
 そうなるとキャリアでスマホを買うのを止め、格安のSIMフリースマホに替えようと考える人もいるだろう。実際、SIMフリースマホに替えるとスマホにかける金額がかなり下がるのは上記の例からも分かるように明らかだ。

 しかし、SIMフリースマホならなんでもいいわけではない。よく調べずに買って、こんなはずではなかったと後悔することもある。
 例えば私の場合、地方に出かけて電波が入らずに困ったことがある。その時は「ああ、やっぱりソフトバンクはダメだ。地方はドコモかauでなければ」と思ったものだ。
 ところが、同じソフトバンク契約の友人はアンテナが立っていた。もちろん通話ができていたのだ。ということは私の場合のみ電波が通じなかったわけで、それは友人がLTE回線で、私が3G回線だからだろうと考えていた。

 だが、よく考えてみればこれはおかしな話で、音声通話はどのキャリアも3G回線で、LTE、3Gの差が出るのはデータ通信時である。つまり音声通話ができない(電話ができない)のは電波の周波数帯(バンド)が対応しているかどうかの問題だ。
 しかし、しかしである。SIMフリースマホの多くは「ドコモのFOMAエリアのみでなくFOMAプラスエリアにも対応」しているから、「ドコモの電波が届く範囲内なら通話できる」ことを唱っている。
 これを周波数帯(バンド)で見ると、FOMAが2100MHz(バンド1)、FOMAプラスが800MHz(バンド6、19)となる。
 私が使っているコヴィアのSIMフリースマホにはもちろん2100MHz、800MHz対応と明記してあるし、日本国内で売られているSIMフリースマホにもそのように明記されている。にもかかわらず電波が届かず、通話ができないのはどういうことだ。

 実は、いままで漠然とドコモとソフトバンクは同じ方式(W-CDMA)でauのみ別(CDMA2000)だと思っていたが、ドコモとソフトバンクでは対応周波数帯(バンド)が違っていたのだ。
 ちょっと専門的な話になるが、ソフトバンクユーザーがSIMフリースマホに変更、あるいは現在使っているスマホにキャリアのSIMではなくSIMフリーを入れようと考えている方は注意して欲しい。

 ドコモの周波数帯(バンド):2100MHz(Band1)、800MHz(Band6、19)
 ソフトバンクの周波数帯(バンド):2100MHz(Band1)、900MHz(Band8)

 要するに2100MHz(Band1)は同じだが、より広範囲に電波が届くプラチナバンドと呼ばれている周波数帯がドコモとソフトバンクでは違うのだ。そしてほとんどのSIMフリースマホはドコモの周波数帯には対応しているが、ソフトバンクの周波数帯(900MHz)には対応していない。そのためソフトバンクの電波は繋がりにくい、届かないという症状が出る。私の場合が完全にそれだった。
 これはSIMの問題ではなくハードの問題だから、後でソフトのバージョンアップを行えば対応できるということではない。それ故、SIMフリースマホを買う場合、最初にスマホ本体が対応している周波数帯をよく調べて買う必要がある。

 SIMフリーを勧めたり、メリット・デメリットを紹介しているメディアでも、このことに触れているものが皆無に近いのも問題だろう。

 またソフトバンクはフィーチャーフォン(従来型ケータイ)のSIMサイズの変更には応じてくれない。例えば標準SIMをMicroSIMに変更する場合は機種変更するしかない。早い話、SIMのサイズ変更に際し、高い金を払わされるわけだ。
 ソフトバンクがSIMフリー化や、通信料の値下げに前向きではなく、後ろ向きなのがよく分かる。


デュアルSIMの上手な使い方は
                                               (3)に続く

一つの契約でSIMカードを3枚ご提供!「OCN モバイル ONE 容量シェアSIMタイプ」登場  


(著作権法に基づき、一切の無断引用・転載を禁止します)

トップページに戻る 栗野的視点INDEXに戻る