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「コロナ」が変えた世界(X)〜格差拡大、能力低下を招くオンライン化(2)
〜オンラインで能力が低下する


オンラインで能力が低下する

 そしてコロナ禍の今言われているのがオンライン弊害である。社会人の場合は「ズーム疲れ」という言葉で言われているが、深刻なのはオンラインが学生や生徒に与える影響である。
 特に昨春の新入生は大学入学以後、対面授業を受けたことがないばかりかキャンパスに足を踏み入れたことさえ数回しかない。
 授業はすべてオンラインだ。さすがに今年度は一部、対面授業に戻した大学もあるが、全面的か一部かは別にしてほぼ全大学がオンライン授業を今年度も導入している。

 問題はそのことが学生に与える影響だが、「ウィルス感染防止」最優先の政策、方針、世論の前に、そのことは後回しにされている。
 その結果が出るのは早くて1年後、あるいは3年後の卒業時と思われるが、卒業できない学生の比率が例年以上でないことを願いたいが、果たしてどうか。
 卒業以上に問題なのは能力で、例年の卒業生と比べてどうなのかという調査を行う必要があるだろう。

 海外の研究でもデジタル学習より紙を使った学習の方が成績がいいことが報告されているし、東京大学などの研究チームによる実験でも脳への記憶の定着は電子媒体より紙媒体を利用した方がいいことが分かってきた。

 オンライン授業は講義をする方も聴く方も対面授業の数倍も疲れる。講師は目の前のディスプレーに映し出される10数人〜100人前後の学生の顔、それらは大抵上半身のみだが、それを間近に見ながら、映し出される顔、顔、顔に素早く目をやり話すのは疲れる。
 人は言葉からだけではなく、それ以外の非言語的な部分から受ける情報の方がはるかに多い。だがオンライン会話では相手の顔か、せいぜい上半身しか映らないため、非言語的な部分の情報が入って来ないし、映像にしろ声にしろ、反応が1テンポ遅れ、そのことがさらに疲れさせる。

 一方の受講生もPCかタブレット端末の前で60分〜90分座って、ディスプレーを見ながら講義を聴くわけで、これはこれで疲れる。
 人間の緊張感は60分どころか30分も続かない。緊張感が緩めば集中力も緩み、脳の活動も緩み、講義の内容が脳に定着しない。
 先生に質問してもオンラインだと反応が1テンポ遅れ、そのことが苛立たせもするし、映像、音声の遅れで議論がかみ合わないこともしばしば起こる。
 こうしたことは大学生に限ることではなく、小中高校生でも同じで、オンライン授業は能力の低下を招く。
 なかでも問題なのが想像力とコミュニケーション力の低下。彼らが社会人になった時や、今思春期にある子供達は対面でのコミュニケーションがうまくできなくなるのではないか。
 これは未来への大きな損失となる。そうならないために、感染防止対策を取りながら学校は対面授業を復活させるべきだし、企業にも同じことが言える。
 もういい加減にオンライン一本やりや、オンラインの導入を煽るのはやめた方がいい。


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