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迷走する政治(2)
〜独裁者3人の共通点と違い


独裁者3人の共通点と違い

 それにしても今回の解散、選挙は不可解なことだらけだ。
まず、なぜこの時期なのか。解散するに足る正当な理由(大義)があるのか。
 時期的なことでは米朝の軍事衝突が現実のものになる確率がかなり高まっていることもあるが、私が問題にしたいのは災害被災地の状況である。
 東北被災地の復興も一向に進んでいないが、そこに持ってきて台風18号による豪雨被災地の問題がある。
 特に後者はわずか1か月程度の直近の出来事である。しかも被害は全国各地で起きている。私が被災者なら、この時期に選挙なんてとんでもない。投票に行く気にもなれないし、選挙カーで廻る時間があるなら被災家屋の泥の一つでも掻き出してくれ、と言いたくなる。第一、選挙には膨大な費用がかかる。その金を被災地復興に回してくれれば復興スピードは随分上がるはずだ、と。

 次の疑問は森友・加計問題だ。結局、何一つ疑惑は解明されていないし、疑問も解決していない。解散、選挙に突入したことで、それらはうやむやのまま政権選びの選挙という様相を呈しつつある。その点では東の権力者の狙い通りと言える。

 ところで上記3人に共通しているのは孤独な権力者であり、世論や国民感情には無関心で、関心があるのは自分の権力を維持することのみ。そのためなら身内を殺害することも、側近をあっさり切り捨てることも厭わない。

 違いもある。東の権力者は他2人より「お友達」を大事にする(庇う)点。同質の人間を集めた仲良しクラブでは組織の運営はできない。攻めには強いが守りに弱い組織になってしまう。個々人が自分の頭で考えず、リーダーの指示、命令で動くだけの組織になってしまう。まさに今の安倍政権がそうだが。

 さて、対話より圧力を好むという点では3者に共通点しているが、西のトップと東のトップが決定的に違うのは西には国家としてのバランス感覚がある(失っていない)という点である。
 例えば北への軍事的行動を匂わす一方、水面下で対話ルートを維持し、対話の可能性を探っている。これは米中対話の際にも見られ、当時の大統領、ニクソン氏が突然、訪中して世界を驚かせたことを覚えている人も多いだろう。
 中国にしても、それまで「米国帝国主義」と第一敵国としてきた相手を自国に迎え入れ、にこやかに握手したのだから驚かない方が無理というものだ。
 乗り込むニクソン大統領にすれば、昨日まで敵対し、できることなら政権転覆を図りたかった相手国に単身(1人という意味ではないが)乗り込むわけだから、片道切符の可能性もなきにしもあらずで、そういう覚悟の下に訪中したわけだ。

 当時と同じことが今回、北との間で行われる可能性は低いだろうが、かの国には常に様々なルートを確保しておくというシステムが根付いているといえる。
 翻って東の国ではどうか。かつての自民党にはタカ派もハト派も存在し、それらがうまくバランスを取りながらやってこれたが、今あるのはタカ派のみ。
 攻撃のみ、圧力一辺倒の政治では外交は成り立たない。片方の手で殴り合っていても、もう一方の手は繋ぎ合って離さず、決して両手で殴り合わない。それが世界の外交政治だし、賢人達はそうしてきた。
 激しく罵り合い、一触即発の軍事的危機さえある米朝だが、それが現実になれば互いに無傷ではいられない。さらに中国を巻き込む事態になるかもしれない。そういう最悪の事態は誰も、どの国も望んでないだろう。
 とすれば急転直下、罵り合っていた両国が対話に向けて大きく動きだすことも考えられる。そうなった時に外交ルートを残さず、圧力一辺倒でやってきた国はどうなるか。今の自民党に田中角栄がいないことは、この国にとって不幸かもしれない。

「希望の党」に希望はあるか

 世界中で政治が迷走する傾向が見られるが、とりわけ日本では、その傾向が顕著だ。大義なき解散が行われれば、目先の生き残りだけを考えた「合流」が行われている。
 泥船と一緒に沈むのは嫌だと、一足先に逃げ出した連中が今度は後から逃げ出して来る連中に、乗せる、乗せないの選別をし始めたのだからなんとも見苦しい。
 お前達だって高尚な理念の下に合流、新党立ち上げをしたわけではないだろうと言いたいはず。しかし、それを言うと希望なき「希望の党」から公認されないかもしれないと畏れるからぐっと我慢して口をつぐんでいる。
 そんなに公認が欲しいのかと思うが、要は資金の問題。無所属出馬では全て自己資金で選挙戦を戦わなければならない。そこまで潤沢な資金を持っている人間はそう多くはない。それ故、多少のことは我慢し、妥協しても「希望の党」に公認してもらいたがる。例え、踏み絵を踏まされても。だが、それを潔しとしない者もいる。

                                                (3)に続く



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