「栗野的視点(No.459_3)」で、2008年にオープンした滋賀県守山市の大型ショッピングモール「ピリエ守山」がゴーストタウンと化しているという読者からの情報を紹介したが、同じ現象が福岡市中央区の大型商業施設でも起きていた。
その施設とは福岡市中央区地行浜にあるホークスタウンモール。「カジュアルエンターテインメントをコンセプトに、アミューズメント性、リゾート性を強化したニュータイプのコンプレックス施設」(同社ホームページより)として2000年にオープンしている。隣接しているヤフオクドーム、ヒルトン福岡シーホークホテルを含めホークスタウンとして、当時、ダイエーグループが運営していた。
ホークスタウンは福岡市の中心部、天神から車で約10分、博多駅から同約15分、バスなら天神バスセンターから約15分、博多駅前の福岡交通センターから約20分と近く、バスの本数も多い。市中心部ではないが、郊外というわけでもない。周辺は開発当初から高級住宅街であり、高層マンションも立ち並んでいる。
オープン当時は連日多くの人出で賑わっていた施設だが、久し振りに訪れてみるとあまりの変貌ぶり(?)に驚いてしまった。郊外の大型商業施設ならゴーストタウン化の進行も分かるが、街の比較的中心部にある大型商業施設でさえ、ここまでゴーストタウン化しつつあるのかと正直、驚きを禁じ得なかった。私の予想をはるかに上回る速度で消費者が消えつつあるようだ。
ホークスタウンモールに行ったのは久し振りだった。目的は同モール内のシネマ館で上映中の「許されざる者」(渡辺謙主演)を観るためだったが、駐車場に車を止めた後、モール内を急ぎ足で歩きながら不思議な感覚に捕らわれた。
何かが変なのだ。人が少ないことか。それもあるが、平日の午後でもあり、そのことが原因というほどではない。もっとほかの妙な「静けさ」と、景色の異常さを感じていた。ショッピングモールにはあるはずのものが、そこにはなかったのだ。
最初は錯覚かと思った。次に入れ替え中だろうと考えた。それにしても多い。1区画、2区画が空いているわけではない。通路の片側がすべて「壁」になっているのだ。
ショッピングモールの場合、通路両側にはテナントショップが並んでいるのが普通である。それが、ここでは片側にしかテナントショップが配置されてない。最初からそういう造りであるかのように。しかし、壁のように見えた片側も明らかにテナントが入っていたスペースであり、ウインドーの内側から目隠しがされていた。その目隠しが紅白幕でないところがうまいやり方だった。
モールの2階はほぼゴーストタウンと言っていい状態で、現入居テナント28店に対し、空きスペースは25箇所とほぼ数の上ではほぼ半数。この数字は同モールのフロアガイドから数えた数字なので、実際にはさらに入居テナントが減っているかも分からない。また2階の入居テナントは比較的小さなスペースに入居している所が多いので、見た感じも実際にも空きスペースの方が広い。
さすがに1階の空きスペースは少ないが、それでも中庭の片側1区画は全て空いていた。
(2)に続く
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