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AOKIの進出で激化する九州紳士服戦争(1)


福岡市南区にオープンする福岡長住店 いよいよ仁義なき戦いが始まる九州紳士服戦争−−。
仕掛けたのは紳士服量販業界2位のAOKIホールディングス(横浜市)。同社の九州進出が明らかになったのは5月1日。その時点の情報では当初オープン予定は2店だったが、13日には福岡長住店(福岡市南区)、春日店(福岡県春日市)、筑紫野店(福岡県太宰府市)の3店を5月末から6月初めにかけて順次オープンすると発表した。同時に今後5年間で九州に50店を出店する予定だとも。

 紳士服量販業界は売上高トップの青山商事(以下、青山)に2位AOKIホールディングス(同、AOKI)、3位コナカ・フタタグループ(同、コナカグループ)、4位はるやま商事(同、はるやま)と続くが、トップと2位以下との間には売上高で倍以上の開きがある。
 このうち九州に進出していなかったのはAOKIだけだが、同社の九州未進出の理由はよく分からない。もしかするとAOKIの社長、青木拡憲氏とフタタの創業者、二田義松相談役とが昵懇の間柄なので、両者の間に紳士協定のようなものが暗黙のうちにあったのかも分からない。

 ところが06年夏、フタタはAOKIからのラブコールを蹴り、経営統合先にコナカを選んだ。互いに歳も近い2代目経営者同士で話が合ったのだろう、二田義松相談役の意向を無視し、フタタはコナカの傘下に入ったのだった。
 これでAOKIが九州進出を躊躇する理由がなくなった。つまり、この時点でAOKIの九州進出計画は練られたと考えていいだろう。

 AOKIの九州1号店は5月31日にオープンする長住店と春日店。ついで6月7日に筑紫野店をオープン予定。売り場面積は約600〜660平方メートルで、年間売上高2億〜2億5000万円を目指している。
 すでに急ピッチで開店準備が進められているが、福岡長住店は外食レストランの元フォルクス長住店跡。野間から福岡大学に向かう大池通り沿いで、樋井川3丁目交差点角である。
 近くに紳士服量販店はないが、さらに福岡大学方面に2km余り行くとフタタと青山の店舗がある。

 面白いのはAOKIの態度である。
このまま一気呵成に九州攻略を進めるのかと思えば、どうやらそうでもなさそうだ。
「もし万が一、今でも要望があるなら、現時点でのベストの提案をさせていただく」
 13日の会見で青木社長はこう言ってフタタにラブコールを送ったのである。これには皆ビックリしたが、一番面食らったのはフタタだろう。
 いわば他家に嫁入りした女性に、「私の気持ちはプロポーズした時と同じだよ。もし万が一、いまからでも私とやり直したいと思うなら、私はいつでも受け入れるから」と公言したわけで、これではまるで新婚間もない夫婦に別れなさいと言っているようなものだ。
 この自信はどこから来るのか。それともピエロに終わるのか。

 コナカ・フタタ夫婦にとっては迷惑極まりない話だろう。普通なら何をいつまでもバカなことを、と一蹴して終わりになる話だが、火のないところに煙が立たないというか、そういわれても仕方がないような事情がフタタ家の方にあるから、当の本人達がいくら否定しても口さがない連中は勝手に様々な憶測を述べる。
 問題は実家の父親だ。この父親、もともとコナカとの縁組みに反対で、AOKIの方が父親同士仲がいいということもあり、嫁入り先はできればAOKIをと望んでいたのだ。
 AOKIの方もそれを知っているから、またしても色目を送ってくる。
といっても、いつまでも待つというわけではなく、「当社の九州出店計画がほぼ固まる今夏まで」と一応期限を切りはしているが。
                                                   (続く)

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