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Vista からXPへのダウングレードが進むWindowsパソコン

 いよいよ12月。歳末商戦の開始で、はやパソコン販売店はWindows Vista入りパソコンの販売拡大に向けて熱を帯びてきたが、店頭で販売員の言いなりにVista搭載のパソコンを買うと後で泣く羽目になるので注意したい。いつの場合でも販売店と購買客の利益は相反するものだが、今回の場合は特にそうだろう。
 Windows Vistaは発売後1年が経つが、当初マイクロソフトやパソコンメーカー各社が想定したほどには売れていないのが現状である。購入者の大半は新しいものならなんにでも飛び付きたがるユーザーとパソコン初心者ばかりで、パソコンに詳しい中・上級ユーザーや企業ユーザーはいまだVistaに興味を示していない。

Vistaへのアップグレードを
しばらく待つように言ったデル


 それにしてもなぜVistaへの買い換え(アップグレード)が進まないのか。
理由はいろいろあるが、ひと言でいえばVistaの評判が悪いのだ。
 まずユーザーを悩ませているのがVistaが4種類もあり、自分はどのタイプのVistaを選べばいいのかよく分からないことだ。大抵の場合は販売員に勧められるままHome Premium を買い、XPに比べて動きが遅いのにイライラするに違いない。

 こうしたことはVista発売当初から予想されていたことではあったが、ここにきてそうした予想が間違ってなかったことが次々に実証されだした。
 例えばデルは個人向けパソコンは別にして、企業向けには「Vista導入は少し待て」とこの夏に警告している。金曜日の午後XPからVistaに替えて、月曜日からVistaパソコンが正常に動くと考えてはいけない、と言っている。それどころか最大の問題はメモリーがマイクロソフトの言うように1GBでは足りないことだ。最低でも2GBいるだろうといっている。
 XPの場合は最低で256MB、その倍の512MBあればサクサクと動いた。それがVistaでは1桁多い2GB(2,048MB)は必要というのだ。それだけOS自体の図体が大きいということであり、いまやVistaはまるでジャンボジェット機並みである。機体が大きく重いから、エンジンはばかでかくなり、その分燃料も多くいるというわけだ。それでも動きが軽ければそれ程不評を買わないが、図体が大きい上に動きが遅いと来れば高い金を払ってXPからVistaにアップグレードする必要性を感じないだろう。

 しかも最初のバージョンが安定していないのはどこでも一緒で、来年初めに Vistaの性能アップを図るService Pack1(SP1)を出す予定だ。これでVistaの不評が解消されれば、いままでVistaへのアップグレードを控えていたXPユーザーもかなりの人がVistaへの移行を図るかもしれない。
しかし、どうやらその期待も薄いようだ。
というのはベンチマークテストの結果、SP1を適用後も性能アップがほとんど図られないことが分かったからだ。
 因みにVista SP1とXP SP3を比較したベンチマークテストはVista SP1がXP SP3の処理速度を2倍以上上回る結果になっている。

これからパソコンを買うなら
絶対XP搭載モデルにすべし


 一方、Windows XPの方はどうか。
本来ならVista発売後間もなくパソコンメーカーは新型モデルにXPを搭載して販売するのを中止するはずだが、実際にはまだ売られている。
 マイクロソフトは日本での根強い人気に押される形で2008年1月31日まで新型モデルにXPを搭載して販売することを一度許可している。
ところが、ここにきてその期限をさらに5か月先の08年6月末まで延期したのだ。
いや、延期せざるを得なかったのだ。
XP人気がそれだけ高く、パソコンメーカーやユーザーの延期要請に屈したといえる。

 それだけではない。
XPのService Pack3を出すことにしたのだ。時期はVista SP1とほぼ同じ頃といわれている。
新しいOSを出した後に旧OSのService Packを出すなどということは考えられないだろう。
逆にいえばそれだけXP人気が高く、XPが現役で動き続けている(裏を返せばVistaへの移行が進んでいない)ということである。
 デルも個人対象にはVistaモデルパソコンが中心になっているが、同社HPの企業向けパソコンページを見れば、XPモデルが選べるようになっている。
 デルに限らずソニー、東芝、エプソンなど国内各社はほとんどXP搭載モデルをホームページ上で販売している。

 それどころか、不幸にしてVista搭載モデルを購入したユーザーの間でいま行われているのがアップグレードの反対のダウングレードである。
Vistaが入っているパソコンにXPをダウングレードしているのだ。
そしてこのダウングレードをマイクロソフト自身が認めている。
パナソニックのようにサイトでダウングレードができるようにしているメーカーもある。
 さて、ここまでいえば、これからパソコンの買い換えを考えているユーザーが選ぶべきなのはXP搭載モデルだということはお分かりだろう。
XPモデルの方が軽くて動きが速いだけでなく、価格も安い。
店頭で販売員に勧められるままにVistaモデルを購入して後で泣かないように!
それでもどうしてもVistaを買いたい人はメモリーは最低でも2GBを選ぶことだ。


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