「柳の下のドジョウ」という言葉がある。
「柳の下にいつもドジョウはいない」というのが正確な言い方だが、最近では広告・企画業界で同じ企画が二度三度当たることから「柳の下にドジョウが3匹はいる」という言い方が広まっている。
この言葉を最近、好んで使っているのが「詐欺業界」だろう。
一度騙された人間は二度三度と騙されやすいようで、何度でも狙われる。
それ故、「柳の下のドジョウ」と呼ばれ、いいカモにされているようだ。
あんな見え透いた手口にと思うが、引っかかる人はいとも簡単に引っかかるらしい。
欲の皮が突っ張っているから引っかかるわけではない。
人がいい人もよく引っかかるようだ。
特に最近は、人の情に訴える詐欺、あるいは詐欺まがいの勧誘が増えているから注意する必要がある。
古くは「カンボジア難民支援のために寄付を」と訴え個別に家庭訪問して寄付金を騙し取る集団がいたし、花売り娘ならぬハンカチ売り娘もいた。
どちらも怪しげな宗教団体がバックで操作していたのだが、寄付を集めに来る人間は「学生」を装ったり、「ボランティア」を前面に打ち出し、人の情に訴えていたところが共通している。
ところが、最近この世界にも効率主義が導入され出し、やり方が変わってきた。
電話による勧誘だ。
通信料の値下げで、人間が動くより電話を使った方が安上がりだからだ。
アトランダムに電話をかけ、多少でも興味を持った相手に資料を送り、資料が届いた頃を見計らって再び電話をかけ、金を振り込ませる。
「5年満期の定期預金だと思ってください」
数日前にかかってきた電話で相手はそう言って、
「興味がおありでしたら資料を送ります」
と続け、住所の確認をしようとした。
「定期預金? 利回りは?」
「7.2%の確定利回りです」
ちょっと待てよ。
投資といったのに金利7.2%の定期預金だって。
「投資なのに元本保証みたいなことを言っていいのか」
と問題点を指摘すると、
「詳しい資料をお送りします」
と言う。
「なに投資だと言いました?」
「はい、環境投資です」
「詳しい資料をお送りしますので」
なにか聞くとすぐ「詳しい資料をお送りします」と、資料を送りたがる。
それをなんだかんだと言っていろいろ聞き出した結果、(株)日本環境サポートという会社で、「販売代行会社」だということが明らかになった。
「環境投資」で、なにを「販売代行」するのかと思い、住所、電話番号を聞き、後で調べることにした。
その結果分かったことは、「エポックジャパンが各営業所・家庭に設置した省エネルギー機器の月々のレンタル料を債権化」し、「この債権の買い取りへの投資」だった。
「エポック」という商品名の節電装置は名古屋本社の愛好電機(すでに倒産)が開発したもので、エポックジャパンは同社製製品を扱っていた会社である。
節電器は過去何度かブームのようになったことがあるが、その都度、問題を起こし市場から消えている。
今回は節電器そのものというより、節電器を設置したレンタル料債権に投資を勧めるものだが、上記の節電器そのものがそれほど売れてないし、今後格段に広まる可能性がない以上、その債権に投資するビジネスは非常に危ういといわざるを得ない。
近未来通信のIP電話の次は環境投資ビジネスが出回りそうだ。
一見おいしそうな話に乗せられないようにご注意を。
詐欺まがいの話に引っかからないコツは
1.非通知電話の勧誘話はすぐ切る。
2.電話の内容に興味を示さない。
3.先方の社名、住所、電話番号を聞く。
4.こちらの住所を教えないこと。
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