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コンビニ経営、裏に回ってみれば残酷物語


 今週月曜日まで営業していたコンビニが火曜日に突然消えた。
シャッターが降りていたので一瞬「あれっ、今日は休みか」と思ったが、セブンイレブンに休日はなかったはず。
では、早めに閉めて棚卸しでもしているのか、と思ったが、張り紙も何もないし、電気も消えていた。
よく見ると、あの見慣れた赤と緑が特徴のセブンイレブンの看板も消されていた。
閉店である。

 いままでコンビニの便利さをそれ程実感したことがないというか、そこにあるのが当たり前のように感じていたが、いざなくなってみると便利さを再確認。
たまたま、その日も電話料金その他の支払いに出かけたところだったが、コンビニがなくなると翌日郵便局が開くまで待たなくてはならない。
そういえば公共料金の支払いに至るまで各種振り込みは郵便局よりコンビニの方を利用していたのだと改めて気付いた。

 ところが便利さと経営は別物で、閉店したということは経営的に行き詰まったということだ。
 その一方で、日曜日の新聞にセブンイレブンのコンビニ経営者募集の折り込みチラシが入っていた。
場所は閉店した店舗ではなかったが、同じ南区内。
閉鎖する店舗があれば、新たに経営者を募集して開店する店舗もある矛盾。
儲かるのは本部だけ、というところか。
傍目には繁盛しているように見えるコンビニも裏に回れば結構悲惨な現実があるようだ。

 コンビニ経営が儲かるといわれたのは過去の話で、現在はごく一部を除いて大半のコンビニが四苦八苦か赤字。
 原因はオーバーストアによる集客力不足、といえばまだ聞こえはいいが、実のところは売り上げの事前読み違え(故意かどうかは別にして)。

 加盟店脱退等で裁判になっている例は結構あるが、その中で必ずいわれるのが事前に示された売り上げ予測がまったく違った点。
本部側の反論は努力不足か、オープン後に競合店が現れたことによる状況の変化。
 例えば福岡市中央区で有名なコンビニ競合箇所は国体道路の警固神社から若宮神社に至るわずか200m足らずの間である。
この2カ所の交差点に5店のコンビニがひしめき合っていた。
さすがに最近は1店、2店と閉鎖したが。
素人目に見ても5店ものコンビニが成り立つわけはない。

 まあこれは特異な例としても半径500m以内に競合コンビニがあるという例は数多い。
それも他社のコンビニならまだしも、同じ系列のコンビニがオープンすることも最近では珍しくない。
「話が違う」と抗議しても、「どうせ他社のコンビニができるのだから」などと反論されるというのだからひどい話だ。
他社製より自社製の方がましというのはあくまで本部の論理で、加盟店にしてはたまったものではない。

 ところで、コンビニ経営は大きく分けて3パターンある。
1.土地も建物も自己所有のオーナー経営者
2.土地は借地で、建物のみ自己所有の経営者
3.土地も建物も借り物のサラリーマン経営者


 このうち成り立っているのは1の土地・建物が自己所有のオーナー経営者だけだ。
立地がよければ何とか成り立つのが2の建物だけ自己所有の経営者で、3のサラリーマン経営者は赤字が増えるだけというのが現実のようだ。
 これではまるで騙し討ちにあったような気になるだろうが、「食えなければ売れ残りの弁当を食え」と本部の指導員から言われたという話もあるから、何が指導なのやら。
 とにかく売るコツは棚に商品をたくさん並べておくことで、夕方近くに弁当が減っていると、もっと並べないから売れないと本部の指導員に叱られるという。
書店のように委託販売ならいくらでも仕入れて並べるだろうが、買い取り販売だから売れ残ればロスだ。

 おまけに24時間営業、年中無休で家族揃っての休みなど夢のまた夢。
せめてセブンイレブンの名の通り7時開店11時閉店ならまだ少しは休めるかも知れない。
閉店したくても違約金や開店時の借金に縛られ、それもできないではまさに地獄。
一見華やかに見えるコンビニも、一歩裏に回って見ればコンビニ残酷物語。
便利さと豊かさについて、もう一度考え直す時期に来ているようだ。


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