Google

 


ボンラパスのイートイン「ボナパティ」不振の理由

ボンラパス花畑店の店内レストラン・ボナパティ 前号で触れたように今号ではボンラパスのイートイン(店内レストラン)「ボナパティ」がどう変わったのか、なぜ変わったのかを見ていくことにする。
 ボナパティのメニューが変わったことに気付いたのは11月20日夜、食事をするため久し振りに寄った時だった。食事場所に敢えてボナパティを選んだわけだが、もちろんそれには理由(わけ)があり、いくつか確かめたいことがあったからだ。

ボナパティに対して感じていた2つの疑問

 1つは、専門的な細かい業態分類は別にして、大きくスーパーという括りの中で捉えられるイートインがどこまで支持されるのかという点。
 もう1つは、オープン当初から花畑という場所でイートイン形式のレストランは難しいのではないかと思っており、それをボンラパスは変えることができるのかどうかという点。
 まあ簡単に言えば「客の入り」が気になっていたわけだが、上記2点がうまくいくためにはボンラパスそのものの集客力がベースになるのはいうまでもない。

 実は私自身はボナパティに対して2つの点で疑問を感じていた。
1つはメニューの中身と価格。もう1点はハード面の問題。
まずメニューはオープン当初、カジュアルフレンチを主体にしたビュッフェ形式(食べ放題)だった。
 ボンラパスのイメージ(こだわりの輸入食品が多い)からすると「和」ではなく「洋」になるのだろうが、全般的な傾向からいえばまだ「和」が続いている。ただ、周辺にも「和」は多いので差別化のために「洋」を打ち出したというのは間違いではないだろう。

 問題は「和」と「洋」では洋風の方が料金設定が高くなりがちなことだ(和風ではなく「日本料理」の場合は逆に高いが)。実際、ボナパティでビュッフェ形式を選ぶと(単品料理の注文もあった)料金は2,400円だ。これに生ビールにしろアルコール類を1杯頼むとほぼ3,000円になる。
 この価格を安いと思うか高いと思うかは個人の懐具合にもよるだろうが、一般的に価格満足度を決めるのは食材そのものよりは「スペース」と「環境」だろう。「どこ」で食べたか、「どういう雰囲気」の中で食べたかが重要になるわけだ。
 例えば「素敵なインテリアに囲まれた、ゆったりとした個室スペース」なら少し高くても高いと感じないだろうし、同じ価格でも郊外よりは天神などの都心なら高いと感じないように。
 そこでボナパティ周辺のビュッフェ方式レストランの価格と比較してみると。
同じ南区内に「木の花ガルデン」がある。ここは「和」だが、元ロイヤルレストラン跡をそのまま利用していることもあり、内部は広く、「レストランでの食事」という感じを客に与える。しかも価格は1,365円。料理の数もボナパティより10〜20種類多い。
 対するボナパティはボンラパスの店内レストランであり、テーブル席も少なく、店内の雰囲気はどちらかといえばカジュアル的である。となると、2,400円という価格には割高感がありそうだ。

メニューをオーダービュッフェに変更

 次はハード面の問題である。
当初から感じていたことだが、レストラン(ボナパティ)内部がボンラパスの店内からは見通しにくいのだ。
入り口が狭く、しかも内部がL字型になっているから、そこにレストランがあることに気付かない入店客が結構いるのではないかと思う。
この構造は致命的な欠点だと思ったが、まさかオープン数か月でハード面をいじることはできないだろう。
 となるとソフト面の変更しかない。
もちろん売り上げがよければ変更の必要はないのだが、私が食事に行った日には従来のビュッフェ形式はなくなり、新しいメニュー、パスタのオーダービュッフェに変わっていた。ということは案の定、ボナパティの売り上げが低迷していたわけだ。
 メニューの変更は19日(月)に行われたとのことだったので、私が食事に行ったのはその翌日ということになる。

 ところで、パスタのオーダービュッフェとは何かといえば、何種類かのパスタ(スパゲッティー)メニューの中から好きなものを選び、同じものはおかわり自由ということらしい。料金は1,400円。以前の2,400円に比べれば料金自体はかなりリーズナブルになった。

 さて問題はこれでうまく行くかどうかだが、私は「パスタのオーダービュッフェ」で盛り返せるとは思わない。もちろん、以前のメニューよりは集客できるだろうが、当初の目論見は下回るのではないかと考えている。
 理由はスーパーのイートイン(店内レストラン)に客が求めるものとの間にギャップがあったからではないか。

滞在時間の読み違いが失敗の原因

 例えば多くのショッピングセンターがレストラン街を併設しているし、イートインがある大型店もある。
これらに共通しているのは店内の滞在時間が長いことだ。
対して食品スーパーの場合は目的買いが大半で、滞在時間はショッピングセンター等に比べて圧倒的に短い。
しかも買うのは食材で、帰ってから料理を作るわけである。
それ以外の目的で来る人はいても非常に少ないだろう。
となると、そこで本格的に食事をしようとは思わないはず。
そうではなく、小腹をちょっと押さえたい、と思うのではないか。

 この読み違いがボナパティのメニュー失敗の理由ではないだろうか。

 では、メニューはどうすればよかったのか。
そこでボンラパスの店内を見回してみると格好の売り物がある。
ボナパティの入り口横にあるベーカリーコーナーだ。
 実はレストランはこのベーカリーコーナーの陰に隠れるような形になっているのだが、裏返せばベーカリーコーナーの方が目立っているわけで、そこと一体化した方がいいと私は考えている。

 オープン前にこのベーカリーで試食させてもらったが、なかなかいいパンを作っている。オーブンを備え、店内で生地から焼くまで一貫して作っているので、いつも作りたてのパンを出している。
 このパンやサンドウィッチと飲み物をセットにして店内で食べさせるようにした方がよくはないか。
それなら「ちょっと小腹を押さえたい」という客の気持ちにも応えられはしないか、と私は考えるが、どうだろうか。


(著作権法に基づき、一切の無断引用・転載を禁止します)

トップページに戻る 栗野的視点INDEXに戻る