ボンラパス花畑店がオープンして4か月あまりが過ぎたが、当初の見込みに反して集客、売り上げ共に苦戦しているように見える。
一つは平日と週末の集客に落差がありすぎたこと。
もう一つは当初想定したターゲット層の来店が週末に集中し、平日には少なかったことが影響しているようだ。
たしかにボンラパスは既存の食品スーパーとは異なり、こだわりの商品を置いているため価格が少し高めということもあり、同店のような業態は認知されるまでに多少時間がかかるというのは分かる。
ただ、業種のいかんを問わずスタート時にある程度の勢いがなければ後が続かない。もちろん、徐々に勢いをつけてくるものもあるが、一般的には少ない。
それだけに平日集客の見込み違いは大きいだろう。
ボンラパスの経営陣もそのことに気付いており、すでにいくつかの見直し、手直しが行われていた。
大事なのは見直し、手直しをいかに素早く行うかということである。
一度離れた客はなかなか戻ってこない。
グズグズしていれば傷口を広げるだけだ。
そういう意味では同店の手直しは素早かった。
ただ、これらの見直しが当初からある程度予想された範疇であっただけに、事前の見通しの甘さを指摘されても仕方ないかもしれない。
当初最も懸念されたのはボンラパスの特徴と店舗周辺の客層がマッチするかどうかだった。
ボンラパスの顧客はどちらかといえば価格優先より品質重視のこだわり派。年収でいえばアッパー層かそれに準ずる層が中心になるだろう。
この層が店舗近くに多ければ多いほどスタートはスムーズに切れるが、逆ならスタートでもたつく。
さて、花畑店周辺の客層だが、どちらかといえばアッパー層は少ないと思われる。
このことが平日と週末の極端な集客ギャップとして表れている。
もちろん、そのことだけが平日と週末の集客差になっているわけではない。
むしろ大きく影響しているのはボンラパスの成り立ちというか、出店形態が変わったことだろう。
もともと同店は福岡地所グループのスーパーとして出発しており、福岡地所グループが建設したマンションの入居者に対する利便性の提供である。
つまり当初からマンション入居者というベースの顧客が存在しているところにスーパーを建設しているわけで、ベースになる売り上げは最初から一定程度確保されていたわけだ。
ところが花畑店は福岡地所グループからハローデイグループに代わって初めての出店であり、マンションの1階に出店したわけではない。そういう意味では「単独出店」である。
この差は結構大きい。
マンション建設当初から1階にはこういうショップが入りますと謳って入居者を集めるのと、そうでないのとでは大きく異なる。
後者の場合はより地域の特性に左右される。
ボンラパス花畑店の近くにはどちらかといえば価格優先のスーパー、レッドキャベツがある。
差別化で地域の客層に支持されれば問題はないのだが、どうやらいまのところボンラパスの業態が支持された、少なくとも同社のほかの店舗ほどには支持されたとは思えない。
さて、同店の見直しはどのように行われたのか。
ある女性がこんなコメントを寄せてきた。
「栗野さんのメルマガ(No.114)やブログで『従来のスーパーとは違うオシャレな店』と紹介されていたから行ってきたけど、ちょっとガッカリしたわ」
彼女が「ガッカリした」と言っているのはショーケースに各商品の価格表示がデカデカと表示されていたことで、それが私の文章から想像していた雰囲気とは違う、あなたが書いたことは本当か、と暗に私を批判しているわけだ。
その点に関してはなんとも言いようがない。
別に大げさに書いたわけでも、とりわけ持ち上げて書いたわけでもない。(いわゆる提灯記事ではない。ついでに少し言っておくと、私は過去一度も「提灯記事」なるものを書いたことがない。自分が見ていいと思ったことはいいと書くだけで、その逆も結構ある。第一、私の場合は取材対象からなにがしかの報酬や接待を一度も受けたことがないし、いかなる取材対象とも利害関係がないので、守谷氏とは違い「使い道」がないのだ)
オープン当初はまさにそうだったのだが、その後見直しが行われ、特にどこのスーパーで買っても大体似たような価格帯の日配品に関して、ボンラパスは高いという消費者の誤解を解くために価格表示を大きくしたということだろう。
この点が店のイメージを打ち壊しているという点に関しては私も同意見である。
ただ、オープン当初から気になっていたことだが、実際にどこのスーパーでも売っている牛乳の価格などが少し高かったのは事実で、これはまずいだろうと感じていた。
このほかにも細かいところは色々あるが、いずれにしろオープン前の見込みが多少狂い修正を余儀なくされたということは事実だろう。
そして最も修正したのがイートインの店内レストラン・ボナパティだ。
ボナパティがどう変わったかは次回で紹介する。
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