Google

 


こんな幹部・社員が会社をダメにする。

客から逃げる販売員、
OL感覚を許す社員

 ある異業種交流会の席上で、最近、目に付くおかしな光景が話題になった。口火を切ったのはA社の社長で、「実はここに来る前に、ちょっと買い物をしてこようと思い某量販店に寄ったんだが、いくら待っても販売員がそばに来ない。それどころか、こちらが近づくと逆に離れていく。一体、こいつらはモノを売るつもりがあるのか、と腹が立ち、結局買わずにきた」と憤懣やるかたないという感じである。
 その話を聞いたB氏。「あるある。ひどいのになると、従業員同士が話をしていたり、メーカー派遣の若い女の子と店の従業員がおしゃべりをしていることが多い。先日の勉強会で、『売れなくなると売り場が荒れる』と言われていたが、こういうことなんですね」。
 話は流通業の現場からさらに広がり、各自の社内のことにも及び始めると、C氏が「社内の恥をさらすようだが」と話した内容は同席者の誰もが思い当たったようだった。電話が掛かってきていたのに、それが担当者に伝わっていない。先方はメモまで頼んだのに、その内容が伝わってないことが度々あるというのだ。単純な伝達ミスといってしまえばそれまでだが、問題はなぜ、そんな単純ミスが繰り返し起こるのかということである。
 言えることは、この種のミスは大企業ではまず起こらないということである。結局、中小企業の場合は現場の仕事を早く覚えさせることで手一杯で、接遇等の教育を行う時間と暇のないことが一因だろう。しかし、大事な電話の取り次ぎミスで仕事を逃すこともある。となると、たかが電話とか、たかが接遇と見過ごすわけにはいかなくなる。
 するとD社長が自社の改善例を披露した。同社もその種のミスが多く、顧客から時々苦情が入っていたそうだ。そこで社内の様子を注意して見ていると、あることに気付いたと言うのである。ミスをする部署の上司や古い社員がそれらのミスを「またか」というあきれ顔で許していたのだ。D社長が早速リーダー達を呼び、ミスを笑って許す彼らの体質を叱責したのはいうまでもない。このように多くの場合、古い社員の、なあなあで許し合っている体質こそが問題である。

「振り社員」と「スケジュール幹部」

 「A社長には参りましたよ。『おたくの会社は夜遅くまで頑張ってらっしゃるね』と嫌味を言われてしまいました」とD社長が真顔で言った。夜遅くまで会社の電気が点いているのをみて冷やかされたのだ。昔ならいざ知らず、たしかに今の時代は量ではなく質が問われる時代。長時間労働は非効率の代名詞みたいなものだろう。1フロアだけでなく、全フロアの電気が夜遅くまで点いているということは、よほど労働集約型の仕事内容か、経費の無駄遣い以外の何ものでもないかもしれない。
 それでD社が社員の仕事内容をチェックして分かったことは、「振り社員」が多いということだった。パソコンを操作しているから、昼間は営業で外出しているから、夜、帰社後にデータ入力や明日の仕事に備えて情報収集しているのだろうと考えていたのだ。「うちの社員は働き者」と自慢にさえ思っていた。それにしては営業成績が上がらないのを不思議には感じていたが。
 営業は一度社外に出れば何をしていても分からない。また、あまり細かいところまでチェックしていると社員の志気にも影響する。そう考えて社員一人ひとりの自主性に任せていた。その代わりに結果だけはうるさく言っていた。ところが、ある社員が現時点での自分の営業成績を答えられなかったのには愕然とした。その社員は自分が今月いくら売り上げているのかも計算せずに仕事をしていたわけだ。
 なぜ、こんなことになったのだろうと調べてみると、やはり幹部に問題があった。目標設定をせずに仕事をさせていたのだ。毎朝、仕事の指示をしていたと思ったのは、ただ単に今日の行動予定を聞いていただけだったのだ。仕事をする振りをしている社員に行動管理だけをしている幹部。これでは成績が上がらないもの当たり前だろう。


(著作権法に基づき、一切の無断引用・転載を禁止します)

トップページに戻る 栗野的視点INDEXに戻る