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上海レポート(2)ーー交渉してホテルの部屋を移動する。


◆安くて、いいホテルを探す


 旅にも色々な楽しみ方があるが、安くていいホテルを見つけて泊まるのは密かな楽しみの一つでもある。
 ただ、日本人は「高くて、いい所」や「安い所」には泊まるが、「安くて、いい所」を見つけるのはあまり得意ではないと、よく言われる。「高くて、いい」のは当たり前だが、「いい」ものを「安く」買う交渉ができない、と。そこで今回はできるだけ「安くて、いい」ホテルを見つけることにした。

 某格安旅行会社で航空券を買ったので、ついでにホテルも紹介してもらうことにした。もちろんエコノミークラスだが、3ツ星とか4ツ星などにこだわりはしない。出した条件は「安くて、いい所」をいくつか紹介して欲しいというだけだ。
 そして紹介されたホテルを含めインターネットで調べて決めるのだが、その場合に大切なのが我慢できるものと譲れないものを分けることである。
 これは人によって違ってくるだろう。人によっては食事が絶対譲れないかもしれないし、利便性を主張するかもしれない。また、同じ人でも旅の目的によっても異なってくるだろう。

 その時の私は10日間の旅だったので、できるだけホテル代は安くあげたかった。しかし、2、3泊なら部屋の広さは関係ないが、10日間ともなると、いくら寝るだけとはいえあまり狭い部屋はかえってストレスが堪る。
 となると、そこそこの広さの部屋で、どこに移動するにも交通の便がよくて(タクシーによる移動ではなく、公共交通機関で移動するのに便利がいい場所)、宿泊料金の安い所となる。
 一般的にこの条件で探せば高くなるが、最新設備の新しいホテルに泊まりたいわけではないので、建物が多少古くても我慢することにした。
また食事は最初から現地のレストランで食べたいと考えていたので、朝食も夕食付きも必要ない。これでかなり安くなる。

◆中国のホテルは基本的にツイン
◆インターネット接続を重視し決める

 こうして選んだのが人民広場前の揚子飯店である。決め手は各部屋にインターネット接続用のLANが引いてあったことだ。
 築年数は分からないが、周辺にどんどん建っている20ー30階建ての高層ホテルに比べれば8階建てで古いのは古い。ただ「大理石がふんだんに使われた内装」「室内は落ち着きある調度品でまとめられ」と紹介されていた。ものは言い様である。ただ写真を見てもそう悪くはなかったし、なにより地下鉄1、2号線が交差するし、上海1の繁華街・南京路のすぐ側と、地の利がよかった。
 実は上海駅近くのホテルとどちらにするか迷った(上海駅近くのホテルの方が料金は少し安かった)が、結局、地下鉄で移動するのに便利な揚子飯店を選んだ。

 料金は日本円にして1泊7,300円。中国のホテルはシングル、ツインの区別がなく、部屋は基本的にツインで、1部屋いくらだから、1人で泊まっても2人で泊まっても料金は同じ。2人で泊まって割り勘にでもすれば安上がりである。

 フロントで日本語は通じなかったが、部屋は想像していた以上にゆったりして気に入った。ホテルが古い分だけ調度品も重厚な趣があったし、浴室の備品にもそこそこのものが置かれていた。
 中国が成長しているのはホテルの備品を見ていればよく分かる。30年近く昔はいいホテルに泊まったが歯ブラシや櫛、石鹸などの備品は国の貧しさを象徴したようなものが置かれ、とても使う気にはならなかった。それが6、7年前には随分よくなり(特に石鹸が)、今回は日本のホテルと大差ないものが置かれていた。

 一つ日本と違っていたのはトイレットペーパーだ。台湾でもそのことに気付いたが、中国のトイレットペーパーは日本のものに比べて幅が狭いのだ。理由は分からない。
だが、トイレットペーパーケースの幅に比べて中身の方が狭かったから、当初からいまの幅ではなかったようだ。

◆交渉して部屋を替えてもらう

 北京や上海などの大都会ではあまり変なホテルはないし、サービスが悪いということはないが、地方のホテルではトラブルも多いようだ。
そのことは中国語の会話集を見ているとよく分かる。
ホテル編には次のような会話が載っていた。
・お湯が出ない。トイレの水が出ない。
・電球が切れている。TVがつかない。エアコンが壊れている。
・部屋を取り替えて欲しい。もう少しいい部屋はないか。

 これを読んだ時、地方の話だと思ったが、2日目に部屋を替えて欲しいと通訳に言うと、早速交渉してくれた。
 といっても強硬に頼んだのではない。窓を開けるとエアコンの大きな室外機があり、見晴らしが悪いのと、安全面で問題がありそうだった(外部から侵入しやすい)ので、そのことを伝えると部屋をチェンジするように交渉してあげると言われたのだ。
 交渉して数分もしないうちに話はつき、すぐもう一つ上層階への移動がいとも簡単に決まった。
 日本人はどうも交渉が苦手だ。この時も私は部屋を移るほどのことではないと思っていた。日本国内でもこの程度のことはよくあるし、そんなことで一々部屋を替えてくれとは言わないからだ。
しかし、中国では積極的に交渉した方がいいようだ。交渉すればあまりに不当な要望でない限り、要望には応じてくれるようだ。
 移った部屋は前の部屋よりさらに広かった。ただ、前の部屋の方は建て増し部分だったため調度品は少し新しかった。でも、移動した部屋でもインターネットは使えたので、部屋が広くなった分だけ快適になった。

◆バスが使えない

 もちろん、トラブルもあった。
雨が降った日の夜はお湯が金気で真っ黄色に濁り、とても風呂に入れなかったし、目の前の建築現では突貫工事でビルを建設しているものだから、夜中にあまりにも音がうるさくて眠れないこともあった。
実は夜中にそのことを訴え、1晩だけまたまた他の部屋へ替えてもらった。
だが、怒りも嫌がりもせず、即座に対応してもらったので非常に感謝しているし、滞在中不愉快な気持ちになることもなく快適なホテルライフ(?)を送ることができた。

05.8.16


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