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ファミレスで垣間見る人生


 1人ファミレスで食事をする時は、料理を注文してから出てくるまでがなんとも手持ちぶさたというか間が抜けている。
そこで手帳とか本、あるいは原稿の校正とか何か持って入るのだが、なにもない時もある。そんな時は仕方なく周囲の人をそれとなく観察している。
これが結構面白い。

 イスの上にあぐらをかいて食べている人がいれば、半身になり足をもう一方の膝の上に置いて食べていたり、両肘を付いて食べている人、茶碗の持ち方がとても変な人など様々だ。
1人で食事をしている人には一様にある種の寂しさみたいなものが漂っているが、逆に1人という開放感というかくつろぎ感からその人の日常がそのまま出るようなところがある。

 例えば半身になり片方の肘をテーブルに付いて食べている人は、きっと帰宅時間が遅く、毎夜、遅い食事を1人で食べているのだろうと想像してしまう。
恐らく話し相手の代わりにTVを見ながら食べているに違いない。
 テーブルに両肘を付いて食べている人も個食に違いない。
もし小学生ぐらいの子供がいて一緒に食べていれば、そんな食べ方はできないはずだ。
私などは子供の時食卓に肘をついて食べたりしようものなら、父の片手が無言で飛んできて付いた肘を激しく叩かれていた。その直後に「行儀が悪い」と怒鳴られたものだ。こうして行儀作法を教えられたが、家族がバラバラに食事をしていれば、誰もそんなことを教えてもくれないのだろう。

 居酒屋で4人で食事をしていた時のことだ。
ある人が目の前の皿を箸で手前に寄せるのを見て、帰りがけに他の人が「あんな箸使いをする人とは二度と一緒に食事をしたくない」と不快感を露わにしたことがあった。
箸で皿を手前に寄せるのは寄せ箸といって和食では不作法とされていることだからだ。 昔はというほどで昔ではなく、つい最近までそうだったのだったが、家族で食卓を囲み、その場が親子・夫婦のコミュニケーションの場であり、躾の場だったのが、個食の時代になり、日本人がどんどん「ジコチュー」になりだしたように思う。
 毎夜、家族で共に食卓を囲むのは難しいかもしれない。
でも、せめて週に1日でも家族で共に食卓を囲むようにしたいものだ。

05.1.4


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