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整骨院漂流の日々


 このところ急激に整骨院が増えてきた。とにかく自宅周辺を30分程度一周するだけで10件近くの整骨院を目にすることができる。
 整骨院の次に多いのが歯科医院だが、ともにコンビニより多いから完全に過当競争。生き残るのは大変だろうと案じていると、気付かぬうちに看板が変わっていた歯科医院もあった。以前は審美歯科を前面に打ち出し、屋号も横文字だったが、ある時、看板が日本語で「○○歯科」と変わっていた。

 いま歯科医院は構造不況業種に分類されるほどだから居抜き開業もありかと思っていると、オープン前に「内覧会」を開催していた歯科医院を見かけた。なるほど、もう待ってて患者が来る時代ではないことをよく知っているなと、妙に関心してしまった。
 イベントガールが数人いて、抽選会までやっていたため、ちょっと見には新店のオープンとしか思えない。まさか歯科医院の開業告知イベントとは誰も気付かなかっただろう。
 それだけに興味を引かれ、ちょっと覗いてみたかったが、あいにく通りの反対側を歩いていたし、目的地が近かったので「内覧」は諦めた。

 目的地は最近開業した整骨院。以前コンビニがあった場所にオープンしているから敷地面積が広い上に屋号の看板がやたら大きいからよく目立つ。こうした看板は町並み条例地区ならおよそ許されないだろうと思うが、目立たせるという意味では効果は充分だ。

 それはさておき、最近、コンビニ跡に開業する整骨院をちょくちょく目にする。それだけ整骨院が増えているということだが、逆から見れば閉店するコンビニも結構多いということだ。
 コンビニはチェーン店だから、閉店しても本部が困ることはまずない。新たにコンビニオーナーを見つけるか、別の場所(それは往々にして閉鎖店舗の比較的近くのことが多いが)に用地を確保してオープンするだけだ。
 気の毒なのはコンビニオーナーで、「最初の話(事前調査)とまるで違うじゃないか、だまされた」「売り上げ予想はなにを元にはじいたのだ」と言ったところで、「あなたの努力不足だ」と言われて終わり。
 それに比べれば整骨院はほとんどが個人事業主。本人と受付兼助手の2人でやっている小さなところから、スタッフを5、6人抱えてやっているところまで様々だが、マッサージ中心のところが最近は増えている。

 私が整骨院と付き合いだしたのはもう30年近くも前になる。最初はお決まりのぎっくり腰で、以来、腰痛持ちになってしまった。これはデスクワーク中心の人間の職業病みたいなもので、早い話が運動不足から来る筋力低下。ストレッチを続ければいいそうだが、根が億劫がりだから頭で分かっていてもなかなか実行しない。いや時々はやるのだが、継続してやらない。
 といわけで整骨院に行く時も痛みが酷い時で、1、2度通って少し容態が落ち着くともう行かない。こういう付き合いだが、それで20年あまり通っていたのだから、余程相性がよかったというか、こちらもどこをどうしてもらえば症状が少し落ち着くということが分かってくる。
 そういうこともあり長年同じ整骨院に通っていたが、数年前から院長が出てこなくなり、息子に代わってしまった。院長は同い年だったからまだ完全引退には早いと思い、アシスタントをしている奥さんに様子を聞くが、なんとなく身体の調子が悪いみたいなことしか言わないから、こちらもそれ以上突っ込んで聞くのは悪いような気がするからそれ以上は聞かないが、困ったのは親子で施術に少し違いがあることだ。
 どうも息子のやり方では効き目がない。そうなると必然的に足が遠のく。しかし、腰痛の方は定期的に襲って来るからなんとかしないといけない。

 ネットで検索し、評判を調べたり、散歩途中に近くの整骨院をそれとなく覗いてみたりし、その内何か所かには実際に1、2度通いもしたが、ここというところになかなか出合わない。
 まず予約制のところは続かない。歯科医院でもどこでも予約制は大嫌いだ。とにかく相手の都合でこちらの時間を決められるのが嫌いなのだ。こちらの空いた時間に行きたいわけで、お前の都合になんで合わせなければならないのかという気になってしまう。
 ある時、大阪で整形外科を開業している従兄弟にそう言うと「予約時間に合わせて自分のスケジュールを決めてリズムを作ればいい」と説得されたが、それでも納得できない。こちらは分単位で動いているわけではないし、そんなに時間にせっつかれてどうする、1時間も待たされるのは困るが30分程度までなら本を読むのにちょうどいいなどと勝手なことを考えてしまう。
 かくしてあっちに1、2回、こっちに1、2回と、整骨院漂流を続けている。

 何軒か通っている内に分かったことがある。まず不調の原因。腰も肩も原因は身体の歪みから来ているということ。そして歪みは骨盤の前屈が原因で、要は骨盤の歪みを直さない限り腰痛も肩痛も治らないということだ。
 原因が分かれば治療法は見えたも同じ。骨盤矯正をする整骨院に行けばいいわけだ。
 もう一つは、どこの整骨院も言うこと、することはそう変わらない。概ね似たようなものだと分かった。

 ここまで分かればもう治ったも同然、とはいかなかった。理屈と実践は別で、言うことは同じでも施術の仕方がそれぞれ異なるし、1度や2度の通院で治るとも限らない。
 知人からは「もう少し続けて行った方がいい」とアドバイスされるし、整骨院の方からも「痛みが治ったと思って来るのをやめる人がいますが、完全に治るまで続けて来て下さい」と言われる。まあ、整骨院の言葉にはビジネスも入っているから値引いて考えなければならないが、「続けて」というアドバイスはそうだろうと思う。
 だが、効果が見えないところに通い続けるより、別のところを探した方がいいのではという考えが頭に過ぎる。しかも1回あたりの治療費が安ければいいが、3000円台だとやはり考えてしまう。
 というわけで相変わらず整骨院漂流を続けている。

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