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「SMAP」解散騒動から学ぶもの(3)


単品ヒット商品では失敗する

 能力ある社員の退社は人数のマイナス1にとどまる話ではないというのは既に見た通りだが、その人数ですらマイナス1で終わればいい方だ。多くの場合は部下数人、あるいは自分のチームを引き連れて辞めていくことがままあるから、人的な損失だけでもマイナス1ではとどまらない。
 しかも退社後、独立あるいは他社に移籍すれば即ライバルだ。手の内を知り尽くした相手がライバルになれば一定の打撃は覚悟しなければならないだろう。そのため辞めた社員に一定期間電話をしたり、食事に誘う経営者も身近な例で知っている。退社社員の動向を探っているわけだ。辞職に追い込んでおきながら。

 ジャニーズ事務所・Iマネージャーも「SMAP」という彼女が育てたグループを引き連れて独立しようとしたようだ。それも急にではなく恐らく1年近く前から。常識的に考えれば、その間に社内外である程度の根回しをしているはずだから、グループを引き連れての独立は多少の悶着はあっても叶っているはずだ。ところが騒動が表に出てから急転直下、グループは残留となりIマネージャー一人の退社で終わりそうだ。

 なぜ彼女の独立は失敗したのか。一つには引き連れて辞めるはずだったグループの足並みが揃わなかったこと。商品に例えれば(失礼!)セットで売り出してき、今後もセットで売り出す予定だったが、1つ欠けたため商品価値が著しく低下したわけだ。
 とはいえ、過去にもそういう例がないわけではない。「東方神起」という5人グループは2人になったが、同じ名前でいまも活動を続けているし、商品価値は人数が減ってもそれほど落ちてないように見える。だからメンバーが1人欠けること自体はそれほど大したことではないはずだが、商標権の問題でグループ名が使えないとか、1人欠けたグループでは引き受けられないというようなことを移籍先から言われた(圧力がかかった)というようなことが想像されるが真相は分からない。
 それでも、もしIマネージャーが「SMAP」のほかに、彼らと同程度のグループ、例えば「嵐」も育てていれば、彼女の独立は成功していただろう。もちろん「Kis-My-Ft-2」というグループのマネージャーも担当していたが、前2グループに比べれば残念ながらブランド力は落ちると言わざるを得ない。

 今回の騒動で、芸能界とは関係ない我々が教訓にすべき点は実はここにある。一時期持て囃された中小企業やベンチャー企業で、その後鳴かず飛ばずになるところは多いが、彼らに共通しているのは単品ヒットで、次に続く商品開発ができないことである。
 製造業同士の異業種交流で商品開発がうまくいかないのも同じ理由だ。単品開発は曲がりなりにもできるが第2弾、3弾となると、それなりの戦略が必要となる。マーケットをどう捉え、どこを狙い、どのような商品を企画、開発、投入するのかといったことを当初からある程度きちんと考え、整理し、メンバーで共有しておくことが大事だ。
 アイデアだけでも起業はできる。その商品がたまたま注目され、一部で「面白い」などと持ち上げられ、持て囃されても、「売れてなんぼ」である。売れなければやがて資金は底をつく。資金不足に陥れば金の切れ目が縁の切れ目とばかりに潮が去っていく。
 もう1点、部下を引き連れて独立する場合、メンバーの腹が据わっているか、独立に向けて一致団結して行けるのかどうかだ。今回の「SMAP」騒動で露呈したのはメンバーの腹が決まってなかったということで、最後の土壇場で独立を撤回し、組織に残ることを表明したが、これで一件落着と行かないのはどの組織でも同じだろう。
 今回の「SMAP」騒動は経営側、社員側双方ともに学ぶべきものが多かったのではないだろうか。




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