1日5人が貧困化で死亡
こうした事実だけを見れば、日本は飽食社会と映るが、本当にそうか。
では次の事実を見て、どう考えるだろうか。
1985年8月、東京足立区で23歳と20歳の姉妹が餓死。
1987年1月、札幌市の市営住宅で女性(39歳)が栄養失調で衰弱死した。後には3人の子供に宛てた次のような「遺書」が残されていた。
母さんは負けましたこの世で親を信じて生きた
お前たち3人を残して
先立つことはとてもふびんでならないが
もう、お前たちにかける声が出ない
起き上がれない
なさけない
涙もかれ、力もつきました。
お前たち空腹だろう 許しておくれ 母さんを・・・・
2005年1月、北九州市の68歳男性が生活保護を認められず孤独死
2006年4月、北九州市で78歳の母と49歳の長女が餓死
2006年5月、北九州市で身体障害者の56歳男性が餓死
2007年6月、北九州市で52歳男性が餓死。「おにぎり食べたい」と書き残していた。
2009年4月、北九州市で39歳の男性が餓死
2011年1月、大阪府豊中市のマンションで60代の姉妹が餓死
2012年1月、札幌市で42歳と40歳の姉妹が餓死
2012年2月、さいたま市で60代の夫婦と30代の息子の3人が餓死
ざっとニュースを拾い上げるだけでもこれだけある。特にこの10年余りは餓死者が増えているだ。
2011年、「食糧の不足」で亡くなったのは45人。「栄養失調」で亡くなったのは1701人という数字もある。1日約5人が困窮の末に死亡していることになる。
一方で、まだ食べられる食品を賞味期限前というだけで大量に廃棄する日本。もう一方では1日5人が困窮の末に餓死している現実。発展途上国などではなく、成熟社会日本で餓死が珍しいことではなくなっている。
いま日本社会は内向きになっている。もう少し他者に注意を払う必要があるのではないか。そうすれば餓死者の数は減少するし、またそうさせなければならないと思うが、読者はどう考えるだろうか。
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