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ブランド戦略の成否が「お得感」の演出を左右する(1)


お得感は前提条件の価値に左右される

 先月の下旬、突然、日本テレビから電話がかかってきた。私のHP内の「理由(わけ)あり商品が人気な理由(わけ)」(メルマガ「栗野的視点」No.316)を読み、電話をしてきたのだった。なんでも日本テレビに「たけしの目が点」という番組があり、その中で人がお得感を感じるのはどういう時かというのを取り上げたい。スーパーよりデパートやアウトレットの方がお得感を感じると書かれていたが、なぜデパートやアウトレットの方がお得感を感じるのか。それを科学的に検証して番組で取り上げたい、という。科学的に検証するなら私より心理学者に尋ねた方がいいだろう、と答えたが、結局、尋ねられるままに30分ほど話した。
 どうやら企画のテーマは「アウトレットの人気」の背景を探りたいということだったので、私の記事とは直接関係ないようだが、企画を練っている過程で私の記事が目に止まったのだろう。
 今回に限らず、私のHPは企画の参考になるのか、結構テレビ局からアクセスがあっている。

 さて前稿で、「アウトレットやデパートの『理由あり食品』人気は安さだけが理由ではない」。「お得感」こそが人気の秘密だが、「それは値引率とは別もの」だと書いた。
 その理由として、1000円のものを500円で買うのと100円のものを50円で買うのは、値引き率は同じ50%引きだがお得感は大きく異なる。前者は500円引きなのに対し、後者は50円引きで、値引きの絶対額に大きな開きがあるからで、お得感は値引き率より、値引きの絶対額の方から来ている、と書いた。

 では、同じ商品で値引き額が同じなら、スーパーで買ってもデパートで買っても、お得感は同じになるか。
 例えば産地も品質も同じりんごをスーパーとデパートで買ったとしよう。値引き額も同じである。当然、お得感も同じになるはずだ。
 ところが、現実はどうか。スーパーよりデパートで買ったりんごの方にお得感を感じている。
 これは不思議な現象である。
客観的に考えると前提条件が同じなら、結果は同じにならなければならない。にもかかわらず、この場合は違う結果が出ている。
それはまだ一つ前提条件に違いがあるからだ。
商品を売っている場所、すなわちスーパーとデパートという業態が違っている。
 つまり、スーパーとデパートという業態の違いが商品価値の違いになり、それがお得感の違いにつながっている。

 なぜ、このような図式が成り立っているのか。それは次のようなイメージが消費者の側に作られているからである。
スーパー=商品が安い=安い商品を販売している=安い商品は品質が悪い
デパート=商品が高い=高い商品を販売している=高い商品は品質がいい
 要は、スーパーとデパートでは全く同じ商品を売っていてもデパートで売っている商品の方がいいというイメージが消費者に形作られているから、デパートで買ったものの方にお得感を感じるのである。

 ここで重要なのは、人の価値判断には必ず前提条件があるということで、この前提条件の価値に最終結果が左右されることが多いということである。
 冒頭のアウトレット人気も実はこのことと大いに関係がある。当初、アウトレット人気を支えたのは(いまもそうだが)、定価でしか買えなかったブランド品が値引き額で安く買えるという「お得感」である。
 この場合の前提条件は「値引き販売しないブランド品」である。逆に言えば、いつも、あるいはどこでも値引き販売されている商品がアウトレットでさらに値引き販売されても(値引き幅が大きくても)、それはお得感につながらないということである。
                                                 (続く)


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