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2040年夏、北極の氷が消滅する
       
〜〜なぜ、リエゾンでマイ箸を作るのか(2)〜〜


◆温暖化のスピードが上がっている

 今年になって地球温暖化防止に向けた動きが急に活発になってきた。
1つは昨年12月、米国立大気研究センターから報告書が出されるなど、地球温暖化の加速化現象に対し警告が相次いで発せられたからだ。
 それらの報告書では2020年代には水不足の被害人口が数億人に達し、洪水や熱波、感染症の危険性が高まり、さらに2040年夏には北極の氷が消滅すると発表されている。
従来の報告では、北極の氷が消滅するのは2070年夏といわれていたから、今回は30年も早まったことになる。
しかも、この傾向は年々縮まっている。

 科学者の中には「北極の氷が溶けると海水が増え海水面が上がると思っている人が多いが、それは間違っている。コップに入れた氷が溶けても水が溢れないのと同じで、海中に沈んでいる氷が溶けても体積は変わらないから海水が増えはしないということくらいは小学生でも知っている」と反論する人もいる。
 たしかに、その通りである。海中の氷が溶けても海水は増えない。
北極は南極に比べると陸地の面積が非常に狭く、北極の氷のほとんどは海に浮かんでいるから、南極の氷が溶けるのとは比べものにならないが、それでも陸地の氷が溶ければ海水面は上昇する。
 科学者が陥りやすいのは狭い範囲の現象にこだわりがちなことだ。北極の氷云々でも同じで、北極の氷が消滅するということは北極という局部だけに起きる現象ではない。ドキュメント映画「不都合な真実」でも明らかにしていたように、すでにキリマンジャロの氷河やヒマラヤ山脈の氷河が消滅しかかっているのだ。その延長線上に北極の氷の消滅があるということで、2040年になってはじめて海水が上昇するということではない。海に沈む国「ツバル」を例に挙げるまでもなく、すでに海水面は「上昇しつつある」のだ。

◆米国内の風向きが変わってきた

 温暖化防止に向けて急に動きが活発になってきたもう一つは、CO2の最大排出国であるアメリカに変化が見られたことだ。
 いままでアメリカは国内産業優先の立場を取り続け、温室効果ガスの削減目標を定めた京都議定書の批准を頑なに拒んできた。
ところが今年に入って、米大手企業10社のトップが提言を発表し、米大統領にCO2の排出削減を義務化するよう求めたのだ。
米国全体が地球温暖化防止に向けて動き出したというにはほど遠いが、米国内の風向きは確実に変わりつつある。こうした変化にアル・ゴア前副大統領の活動が影響を与えたことは十分考えられるだろう。
 ゴア氏はすでに1,000回以上もアメリカ、ヨーロッパ、アジアの各地で「不都合な真実」を訴える講演活動を続けている。
ここで重要なのは「前副大統領が行う講演」だからではなく、「訴え続ける」という行為である。「継続は力なり」、あるいは「持続する志」こそが重要だという事実。そして小さなことからでも行動を起こすという勇気である。

◆リサイクル意識はまだ低い

 さらに昨年から今年にかけて、世界各地で異常気象が見られたことも人々の意識を温暖化防止に向ける役割を果たしたかもしれない。
 しかし、こうした意識が温暖化防止の行動に直結するかといえば、必ずしもそうとはいえない。
それは福岡市を見ても分かるように、リサイクルの分別収集は非常に大まかだし、全国でも牛乳パックなど使用済み紙パックの回収率の伸びは非常に鈍い。
 全国牛乳容器環境協議会によると、2005年度の使用済み紙パックの回収率は25.8%で、前年度よりわずかに0.9ポイントしか増えていない。
紙パックも1リットル牛乳パックの回収は伸びているが、500mlの牛乳パックや牛乳パック以外の紙パックの回収はほとんど伸びていないという事実。

 ひと言でいえばリサイクルに対する国民の意識は非常に低い。
啓蒙活動のいっそうの進展が望まれるが、地球温暖化防止のためにリサイクルをいくら奨励しても面倒くさいこと、格好悪いことはしたくないのが人間である。

◆オシャレ、好奇心、プライドがキーワード

 逆にいえば、格好よかったり、オシャレなことならするということだろう。
例えば今月に入ってイギリス・ロンドンの大手スーパーマーケットで高級ブランドの布製バッグが5ポンド(日本円で約1,200円)で売り出されたところ、朝7時半には長蛇の列ができたとフジテレビ系で放映していた。
 この布製バッグはイギリスの高級ブランドとして知られる「Anya Hindmarch(アニヤ・ハインドマーチ)」製で、バッグには「I’m not a plastic bag(ビニール袋じゃありません)」と書かれている。この文字がまたオシャレで、持つのが楽しく、自慢したくなるような感じだった。
それもそのはずで、同ブランドのバッグは10万円以上するものばかりらしい。それが買い物袋とはいえ1,200円で売り出されたのだから、ぜひとも手に入れたくなるだろう。しかも500個限定だからよけいそうだ。

 上記の例でも分かるように、いま環境問題に対する認識は世界中で高まっているだけでなく、多くの人達が行動を起こしつつある。
 重要なのは、従来のように「エコ商品だから」では広がらないということだ。
思想ではなく、消費者をその気にさせるもの、つまり感性や好奇心、プライドに訴える商品を作ることが必要である。
 さて、リエゾンが作る「マイ箸」はそのようなものにできるかどうか。
リエゾンの「マイ箸プロジェクト」はすでに制作に向けて動き出しているが、興味、関心がある人はぜひ結集して欲しい。知恵を、力を貸して欲しい。


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