この数年、インターネットの接続を制限する企業が増え出している−−。と言えば、そんなバカなと言われそうだが、前稿(No.442)で見たアイリスオーヤマなど、躍進している企業ほどメールやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス=コミュニティ型のウェブサイト)の閲覧を制限する動きが広がりつつある。特に欧米企業の間で。理由は仕事の邪魔になりだしたからだ。
メールを捨て、街へ出よう
いまどきインターネット接続を制限する会社は古い体質の会社。デキる営業パーソンほどITを駆使して情報を収集しているのに、それを制限するなど、とんでもない時代遅れ企業だ。
こんな反論が出てきそうだが、上記の意見に対しては全てノー、その反対である。
「書を捨てよ、町へ出よう」と言ったのは寺山修司だが、「メールを捨て、街へ出よう」というのがこれからのトレンドになりつつある。
たしかにインターネットは便利だし、その効用を否定するつもりはない。だが、いまやインターネットは誰もが行っており、そこから得られる情報はクズ情報とまでは言わないが、誰にでもオープンな情報が大半で、本当に価値ある情報はやはりFace to Face、つまり人と会って初めて得られる。だからこそ、前稿で紹介したようにアイリスオーヤマは売り場にSAS(セールス・エイド・スタッフ)と呼ばれるスタッフを派遣し、ユーザーの声を集めているのである。
では、デキる営業パーソンはITを駆使して成績を上げているのだろうか。彼らがITを使っているのは事務処理などに必要な最小限で、1日の大半の時間は人と会うことに費やしている。
例えば日本一ベンツを売るヤナセのトップセールスマンは店頭で待っていて車を売っているわけではない。いまでも飛び込み営業を欠かさないと言う。そして言う。飛び込み営業のコツは自分の都合で客を選ばないことだと。
誰でも飛び込み営業は好んでしたくない。この家は買いそうにないなと思えば、その家は飛ばして、もっと買ってくれそうな家を探して歩く。そうする内に5軒、10軒と飛ばして訪問する。
飛び込み営業のコツは愚直に、1軒1軒軒並み回ることで、セールストークの上手下手など関係ない、と彼は言う。そうした愚直さが受け、ある時、客から声がかかり売れる、と。そして顧客の要望には小さなことでも、即座に対応していく、と。
こうした姿勢は以前、BMWのトップセールスマンの所でも紹介したが、すべてのトップセールスマンは皆同じことを言っている。
勤務中のメールを禁止したIT企業
(2)に続く
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