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中小企業は求人難、若者のレベル低下で困っている。(4)
〜中長期的な対応こそ必要


 そこで対策(?)ですが、会社を私物化しないことは最低限必要なことではないでしょうか。政治家にも政治活動費で飲み食いしたり、ひどいのになると個人的な趣味(スポーツ事務系とは言いませんが)や自宅の家賃までそれで払っている人がいますが、社員は案外その辺のことを見抜いています。
 「それって俺達が払った税金を私的に使っているわけではないか(結局、俺達が稼いだ金ではないか)」となり、バカらしくて税金を納める気がしなくなるでしょう。

 余談ですが、このところ社員の使い込み金額がどんどん増えていますよね。そういうニュースを見聞きするこちらも慣らされて、もう1億円や2億円の使い込みと聞いても驚かなくなりました。ましてや数千万円の使い込みでは、なんだその程度の金額で人生を棒に振るのか、と半ばバカにしたくなります。慣れとは恐ろしいものです。
 ところで使い込みをする社員はどういう気持ちなのでしょうか。もし、上司が、トップが清廉潔白な人物でも、やはり使い込むでしょうか。それでもきっと使い込む人はいるでしょう。でも「どうせ上司も、トップもやっているんだから」と思う人は少ないのではないでしょうか。また、そういうトップの下ではズサン会計は行われていないだろうから、仮に不正を働く者がいてもすぐ見抜かれるはずです。

中長期的な対応が必要か

 休日はあってもそれをカレンダー通りに取れるのは大企業と公務員で、中小企業は現実問題として休みが取れない。こんな不公平はないというのは同感です。かといって、いまさら大企業や公務員も休日とまではいわなくても、せめて土曜日も仕事をしろと言いたいところでしょうが、これは明らかに政治の問題ですね。

 日本に休日が増えたのはアメリカの圧力、貿易摩擦がきっかけです。当時のアメリカは日本製品に市場を圧迫され、米国製品が国内外で売れなくなっていました。そこでやり玉に挙げたのが「不公平競争」です。
 「日本人は働き過ぎだ」「ワーカーホリック(仕事中毒)だ」「ゴルフウィドウ(ゴルフ未亡人)だ」。これでは日本人がかわいそうだ。休日には家族と過ごすなど、もっと家族と過ごす時間を取るべきだ、ともっともらしい理由を並べ立てて日本社会の「改善」を図るよう日本政府に働きかけ(圧力)ました。衣の下に鎧をチラつかせながら。鎧は米国内産業の保護であり、日本のコストアップです。
 「フェアな競争ではない」。彼らは折に触れてこう言っていました。もっと仕事時間を減らせ(生産ダウン)、工場のオートメーション化には熱心だが、オフィスのアメニティが遅れている。オフィス革命もすべきだ、と。
 一つひとつはその通りですが、バックにあるのは日本の競争力ダウンです。日米貿易摩擦に手を焼いていた政府は土曜日を半ドンから完全休日にし(金融機関と大企業から)、次に様々な名目で休日を増やし、さらに休日を連続休暇にすべく固定日を移動祝日に変更しました。かくして日本人は欧米並み(?)にバカンスが楽しめる国になりました(?)か。

 こうした日本の動きが功を奏したのか、80年代後半に塗炭の苦しみ(?)を舐めたアメリカ経済はその後立ち直り、今度はベンチャー企業がどんどん台頭してきます。彼らベンチャー企業の経営者は日本のモーレツ社員そのもの。土日返上の長時間労働。「ベンチャーウィドウ」という言葉まで生まれたほどです。
 まんまとアメリカの策略に乗せられた日本は元に戻るどころか周回遅れでアメリカの後を追いかけるだけで、いまや「勤勉」は死語になり、正直者がバカを見る社会になりました。
 雇用を守ってきたのは中小零細企業で、大企業は何千人単位でリストラという名の首切りを行い、工場を海外に移転するか、国内工場は無人化に近い状態。材料、部品調達は海外から。これでは国内産業が立ち行くはずはないでしょう。
 しかし国を挙げて産業構造変換とグローバル化の推進ばかり。これでは国内産業が押しなべて空洞化するのは火を見るより明らかです。
 TPPは農業問題ばかりがクローズアップされていますが、関税撤廃で打撃を受けるのは農業だけではありません。これまで以上に安い材料、部品が入って来るわけですから中小零細の製造業も大打撃でしょう。

 もちろん産業構造の転換は否応なく進むでしょう。その過程で製造業の中で生き残れる分野とそうでない分野が出てくると思います。
 規模の拡大を追うなら徹底的に追う。そうでなければ規模を縮小し、ある分野をしっかり守る。アナログの部分があるところ程生き残れるのではないでしょうか。中原さんが先のコメントで言われていましたが、同じ機械を使えば同じ結果が出るわけではないのは私ごときが言うべきことでもないと思いますが、素材、その時の状況に応じてNC加工機の一調整、半調整ができるかどうか、そういう人材が(育って)いるかどうかでしょう。
 たしかに人材育成の前に人そのものがいないのが目下の問題でしょうが、これだけは短期で何とかなるものではなく中期、長期で解決していかざるを得ない問題だと思います。
 すでに行われているかも分かりませんが、中学、高校への出前授業を行っている企業経営者もいます。出前よりは自社に呼んでの授業、工場見学の方がより効果的でしょう。モノづくりとはこんなに素晴らしいものなんだ、このなにも一生懸命にやっているんだということを見せる(見てもらう)のも有効な手段ではないでしょうか。いずれもすでに行われていることかもしれませんが。

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