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菅直人の野望(3)〜小泉亜流の道を突き進む


小泉亜流の道を突き進む

  記者クラブ所属の大手マスメディアと官僚が暗黙のタッグを組んで反小沢キャンペーンを張るのに力を得た菅は、代表戦後は「ノーサイド」「全員野球」と言いつつも「脱小沢」色を強めていった。しかも、その傾向はますます強くなりつつある。いまや菅の目的は小沢を離党に追い込むことだ、と言った評論家もいたが、さもありなん。
 それにしてもなぜ彼はそれ程までに小沢排除に動こうとしているのか。
それは一つには内閣の支持率が上がらないのは「政治とカネの問題」があるからだと思っているからで、そのためには反小沢を貫き、小沢を離党に追い込む必要があると考えているに違いない。
 この辺が菅の世論が読めないところだ。国民は政局より政策を望んでいるのだが、無政策のカバーを政局で乗り切ろうとしているのだから、これでは末期の自民党政治よりたちが悪い。

 もう一つは菅の後ろにチラつくいくつかの影だ。
少なくとも3つの影がチラついて見えるが、何分こちらも歳のせいで少し目が悪くなっている。そのせいか、最近の菅を見ているとデジャブー(既視感)に襲われる。
 昨日までの友を「抵抗勢力」と攻撃し、「刺客」まで差し向けて排除するというヒトラーやスターリンまがいなことを平然とやった小泉元首相の影で、これが最も大きく見える。手を振り回し、声を張り上げ、「私に反対する者は皆抵抗勢力だ」と叫んでいた、あの光景がデジャブーで蘇ってくる。
 小泉はあの手法で反対勢力を駆逐し、長期政権を築いた。どうも菅はそれに習おうとしているフシがある。いやいや、そうではない。積極的に真似ている。特に年明け以降、それまでの迷いは消え、吹っ切れたように小泉亜流の道を突っ走り始めたように見える。
 そう言えば小泉は「俺は政局に強い」と自ら言っていたが、いま菅の頭の中にあるのも政策ではなく政局だろう。でなければ「支持率が1%になっても辞めない」などと言わないはずだ。この間までは「仮免許」で、菅改造内閣後が本免許だなどとよく言えたものだと思う。誤解のないように言っておくが「仮免許」と言ったのは自らが首相になった第1次菅内閣のことだ。

 国民は「政治とカネ」絡みの政局にはもう辟易しているのに、なぜいつまでもやり続けるのか。それは菅が小泉同様、「敵」がいないと奮い立たないタイプだからだ。
 鳩山辞任の後を受け首相になった直後、菅は傍目にも腑抜けに近い状態に見えた。あの瞬間、この男の目標は首相になることだったのだと私には感じられた。なにかをするために首相になりたいのではなく、首相になること自体が目標だったのだ。
 そんな彼が腑抜け状態を脱したのが小沢と代表選を争った時である。どうも菅は森より木を見るタイプのようだ。                           (文中敬称略) 
                                                 (続く)


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