進む、彼岸花による名所づくり(2)



 岡山県真庭市古見・川東公園の彼岸花群生地

 鳥取県は米子市上淀廃寺跡に数年前から地域の人達が彼岸花を植えていったようだ。今年、帰省していた折に足を伸ばしてみたが、三次や真庭の群生地を見ていた目にはあまりにも疎らでちょっとがっかりした。
 それでも後数年すれば数も増え、彼岸花の群生地として有名になるかもしれない。そうすれば周辺の遺跡巡りなどとセットで集客が期待できるだろう。すぐ側に第3セクター経営のレストラン、地域物産売り場、さらに温泉などがあるのもいい。

 島根県吉賀(よしか)町の彼岸花群生地は中国自動車道六日市ICから10分程の距離。個人所有の栗園の中に群生していたものを、いまでは地域の人達が手入れし、守ってきている。吉賀町には、彼岸花の群生地から県道をさらに吉和町方向へ行ったところにはカタクリの花の群生地もあるので、3月下旬頃には可憐なカタクリの花を楽しむこともできそうだ。


名所づくりに彼岸花を植栽

 福岡県宮若市は犬鳴川河川公園(市役所の目の前)に数年前から地域の人達が彼岸花を植えていき、いまでは土手の斜面一面を真っ赤に染め、地域の名所になっている。
 九州ではこのほかにも長崎県大村市・鉢巻山、佐賀県小城市江里の棚田、福岡県うきは市・つづら棚田などが彼岸花の観光名所になっている。後者2か所は棚田の畦に彼岸花を植えたもので、密集して生えている群生地とは異なるが、稲刈りが終わった後の棚田の風景として、自然の魅力を余すところなく作り出しており、シーズン中には多くの人が彼岸花を観に訪れる名所になっている。

 いずれも自然環境をうまく生かして、知名度アップに成功しているが、それが従来イメージの「観光」になっているかというと、物販等を含めた経済効果を上げているとは言い難い。もちろん、なんでもかんでも経済に結び付ければいいわけではないが、地域が持つ魅力を高めていく工夫は必要だろう。

 例えば岡山県奈義町。以前にも触れたが磯崎新氏がプロデュース・建築した奈義町現代美術館があり、バックには那岐山が雄大な姿を見せているし、田畑は広がり、広い蕎麦畑もある。自然環境を楽しむには最適な場所だ。
 ここに彼岸花の群生地があれば、奈義町だけで回遊性は高まる。稲田と彼岸花、蕎麦畑と那岐山に彼岸花の組み合わせ。さらに山野草をもっと増やしていけば1年中季節の花と景色を楽しめる地域になる。また最近ブームのトレッキング、あるいは那岐山登山などと組み合わせればかなりの集客が図れるはず。
 このように地域が持っているポテンシャルは大きいのに、地域の人々がその宝物に気付いていなかったり、あるいは従来通りの箱物建設、利便性を求めるからうまくいかない。結果、中途半端なものばかりになる。彼岸花でもコスモス、ヒマワリでも中途半端な数では人は呼べない。
 盆栽、箱庭発想ではなく、雄大な自然を生かすことだ。見渡す限りの○○。それもよそでもよく見かける○○ではなく、よそにはあまりない○○がそこで見られれば人は自ずと集まってくる。奈義町はそれができる土地を持ちながら、箱物を造っていくから全てが中途半端になる。いま人を呼べるのはコンクリートの箱物ではなく、自然そのものである。


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