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バルコム福岡のオープンで分かったBMW JAPANの姿勢


福岡でNo.1ディーラーを目指せ

Balcom BMW福岡 Balcom BMW福岡(以下バルコム福岡)がオープンしたのは福岡市中央区地行1-8-10。福岡の中心・天神から副都心の一つ、西新(にしじん)に向かうメーン大通り、明治通りの地行(じぎょう)交差点角にある。そこから海岸の方に向かえばホークスタウン、ヤフードームがあり、その西隣は福岡タワーなどがある百道浜。高級住宅地と言われている地域だ。
 バルコム福岡の営業担当エリアは中央区と博多区の一部なので、早良(さわら)区に属する百道浜、百道(ももち)はエリア外だが、この地区の住民や、会社に勤務する社員がバルコム福岡に寄り、車を見たり、買ったり、メンテナンスを頼むのは問題ない。バルコム福岡の方から営業をかけることができないというだけで、来る者は拒まずどころか大歓迎だろう。

 バルコム福岡のオープンレセプションで感じたことは出席者数の多さや、徳島、愛媛など四国からBMWディーラー数社が参加していたなどいくつかあるが、驚いたのはBMW JAPAN社長のローランド・クルーガー氏が参加したことと、氏が参加者を前に話した内容だ。
 ご存知のように福岡市には正規ディーラーとしてヤナセBMW福岡(以下ヤナセBMW)が以前からある。福岡ではヤナセBMWが先輩だが、BMWのディーラーとしてはバルコムの方が歴史が古い。
 ディーラーとしての歴史か、福岡市場での歴史を重視するかで違うが、それでも後から福岡市場に進出したディーラーのオープンレセプションにBMW JAPANの社長が出席するというのは異例だろう。これではヤナセBMWのメンツはない。
 日本企業では、こういう場合は社長ではなく専務か常務クラスが参加し、両方のメンツを立てるものである。トップが片方に参加すると、そちらに肩入れしていることが明白になるからで、なにもそこまであからさまにしなくてもというのが、日本の商習慣であり、要らぬ摩擦を生まない知恵なのだが、その辺りは外資系には通用しないようだ。

ローランド・クルーガーBMW JAPAN社長 トップの出席だけでも異例だが、さらに驚いたのはクルーガー氏のスピーチ内容である。彼はバルコム福岡に対し「福岡でナンバー1ディーラーを目指して下さい」と言い切ったのだ。
 これには多少の社交辞令が入っているかもしれないが、それを差し引いてもBMW JAPANがヤナセBMWよりバルコム福岡を重視しているのは明らかだ。そしてまた、こういう話はすぐヤナセBMWにも伝わるものである。当然、ヤナセBMWとしては面白くないだろう。
 もし、レセプションに参加したのが社長ではなく常務か専務だったら、「いや、あれは社交辞令ですよ。ヤナセさんのエリアを少し分けて貰うわけですから頑張らなければダメだよという激励の意味で喋ったのが、ああいう言葉になったんでしょう」とかわすこともできるが、社長が喋ったとなれば取り返しがきかない。

 BMW JAPANはヤナセBMWのエリアを削ってバルコムを進出させたのだから、もう少し言葉を控えても、と思ったが、外資系はその辺りがはっきりしているようだ。
 福岡のBMW正規ディーラーはヤナセBMWとバルコム福岡の2社しかないのだから、上記発言はヤナセBMWよりバルコム福岡の方を重視しているという明確なメッセージである。これを聞いて参加者はどう感じるだろうか。本メルマガNo.409で紹介した、ほり編集事務所の堀達哉所長が寄せたコメントにあるように「他のディーラーに対する見せしめ」と感じたのではないか。そしてそれこそがBMW JAPANの意図しているところかもしれない。

 なぜ、これほどBMW JAPANはバルコム福岡に肩入れするのか。というかバルコム福岡進出の背景にベンツとの販売台数差があるのは間違いない。
 全国レベルでみればベンツとBMWの販売台数はほぼ互角である。ところが福岡に限ってみれば、ベンツとの間に10%も差を開けられているのだ。この差を埋めたいとBMW JAPANは考えていたが、富士モータースからヤナセBMWに替わっても相変わらずベンツに水を開けられたままだ。
 ところでヤナセと聞けば誰もがすぐ思い浮かぶのがベンツだろう。ベンツを販売しているヤナセとBMWを販売しているヤナセバイエルンモータースは別会社だが、同じヤナセグループである。もしかすると福岡でベンツの販売数の方が多いのは、そういうことが多少関係しているかもしれないと思う人がいても不思議ではないだろう。
 いずれにしろBMW JAPANは福岡の市場をヤナセBMWだけに任せるのではなく、ディーラー2社体制にして競争させた方が相乗効果が出ると考えたのだろう。

 レセプション会場でひときわ目を引いたのが、会場片隅に置かれた真っ赤なBMW116iだった。福岡のFM局Love FMのリスナー1名にプレゼントされた。会場で抽選が行われ、当選したのは女性だったと記憶している。
 バルコムも中々太っ腹と思ったが、FM局との共同企画なので宣伝費と思えば案外安いものだろう。それにしても宣伝上手ではある。

 最後にエリアに関して。バルコム福岡は中央区と博多区の一部だが、冒頭紹介したように店舗所在地は、高級住宅地と言われている早良区百道浜に隣接している。人は近くの店舗を選ぶから、百道浜、百道の客がバルコム福岡に来る可能性は非常に高い。
 また中央区、博多区は会社も多い。バルコム福岡とすれば当然法人営業に力を入れるはずだ。法人営業というのは何も法人だけを対象にするわけではない。そこの社員も対象になる。顧客になれば社員が住んでいる所にも出かけていくことになる。もう後はお分かりだと思うが、どんどん広がっていく可能性を秘めたエリア、いうならばおいしいエリアを手中にしたということだ。営業の腕にかかっている。そして「カスタマーサービスナンバー1」を福岡でも実施できるかどうかだろう。


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