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私がやっていることは環境適応業。
地域や時代環境を生かしていく業です。


<(株)グラノ24K 代表取締役 小役丸秀一 氏
福岡県遠賀郡岡垣町手野183 tel 093-282-2226

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  いま、食の分野が面白い。安全、安心、こだわり、産直などがキーワード的に唱えられるが、伸びている企業に共通しているのは新しい概念を導入していること。遠賀郡の田舎にありながら、いま引く手あまたなのが潟Oラノ24K。環境適応業という新たな概念を導入したところが注目される。
  (ジャーナリスト 栗野 良)

 

純金のように輝く人や会社にしたい

 ーー「ぶどうの樹」「野の葡萄」という店名の店を展開されていますが、社名は「潟Oラノ24K」とちょっと変わっていますね。社名の由来を教えてください。
 小役丸 「グラノ」というのはスペイン語で「ぶどうの実」という意味です。「24K」は純金のことで、純金のように輝きたい。人も、店も、会社も。そうなりたいという意味を込めて付けました。
 ーー「ぶどうの樹」は文字通りぶどうの樹の下で食事ができるスタイルですが、こういう方式を導入されたきっかけは何ですか。
 小役丸 もともと父がぶどう畑の横に旅館やレストランを併設する観光農園を夢見て始めた事業だったんですが、1年間ぶどうの栽培をしても収穫時期はせいぜい20日間ぐらいなんですね。それで、収穫したぶどうの実を売るということだけでなく、環境も一緒に売れないか、と考えたんです。だけど環境だけで入場料を取るわけにはいきませんので、食事も合わせてアウトドアを疑似体験的に楽しめる施設ができないかと考え、炭火を入れるアメリカ製の機械を買ったりして本格的なバーベキュースタイルを導入したんです。
 ーーバーベキューにされた理由は?
 小役丸 半年だけの営業ですからアルバイトでできるようにしようと考えました。肉や野菜をカットして出せば、最終調理はお客さんにしてもらえるわけですから。
 半年ぐらいハワイに勉強に行きましたが、そこで見たのは牛の育て方の違いですね。日本の牛はヨタヨタしているけど、向こうの牛は広い牧場で草を噛んで育っているから、歩き方でもしっかりしています。肉も堅い。それをとろ火で焼くと本当においしい。それまでは和牛がいいという先入観に捕らわれていましたが、逆ではないかと思いました。ですから、うちではオーストラリアの肉、アメリカの肉、国産牛肉をそれぞれきちんと産地表示して出しています。

地元の農家と提携し、農家民泊もやりたい

 小役丸 日本にはマスコミなどを通じて一方通行の情報しか入ってこないものが多く、現地に行ってみないと分からないものが多いですね。いまグリーンツーリズムが言われていますが、自分の目で見てみないと分からんと思ってドイツまで見に行きました。そして農家民泊をし牧場も見させてもらうと、いままで聞いていたグリーンツーリズムと違うわけです。やはり実体験的に理解しないとですね。
 それでいま日本型の部分を面白くしたグリーンツーリズムを考えています。うちも旅館はやっているんですが、できれば地元の農家の方々と話し合いながら、農家民泊みたいなものが少し手がけられないかなと思っています。それは農家の可処分所得が増えるということもありますが、農家といえども核家族化が進み、広い納屋が座敷があるのに全然使われてない。そこに月10万円から15万円収入が増えるというのは農家にとって大きいことなので、そんなことでも貢献できればなと思っています。
 ーーそれは面白いですね。

環境も一緒に味わえる店を

 小役丸 私は環境適応業という考え方をしています。地域環境や時代環境によって業は変わっていくだろうと思っています。波津の海岸に「鮨屋台」を出していますが、それはこの海がなければ絶対できないものです。天神でこの環境ができるかといえば絶対無理で、目の前に海があり、そこで採れた新鮮な魚を使い、目の前の地平線を見ながらゆったりと食事を楽しんでいただきたい。そういう環境があって初めて可能だし、環境も一緒に味わっていただいていると思っています。

   
 「鮨屋台」は遠賀郡波津の海岸に貨物コンテナを改造して設置したカウンター10席の小さな鮨屋。目の前の波津港でその日に採れた魚介類のみを使っているため、江戸前鮨ならぬ「波津前鮨」を謳っている。ネタ切れになれば閉店。

サラブレッドではなく、こって牛集団です

 ーー昨年、黒崎井筒屋に出店され、今年は同じく黒崎井筒屋にとんかつ専門店「はな萬万」を、さらに本部所在地に「ぶどうの樹カフェショップ」「フラワーショップ」「鮨屋台」、天神イムズに「野の葡萄」と集中的に出店されていますね。
 小役丸 黒崎井筒屋さんからは強い出店依頼があり、これも広く知って頂くチャンスかなと思って出店しました。それ以来、ジャスコさんやキャナルシティを含め、本当に様々な大手企業さんから出店のお誘いがあったんですが、なかでもイムズさんから非常に熱心なお誘いがあったんです。「自然と癒しの空間」にするというイムズさんの方向と、私どもの有機・減農薬・無添加の素材を使い、体にやさしい自然のおいしさを提供するという方向が一致しましたので出店させてもらいました。
 ーー今後も出店を加速されますか。
 小役丸 それはありません。サラブレッドではなく、こって牛集団ですから。こって牛のように一歩一歩頑張っていきたいと思っています。うちには若い社員が多いですし、元暴走族だったとか高校中退した奴なんかが不思議と多いんですよ。皆が楽しく仕事ができるように知識より知恵の出る発想力の養える場でありたいし、皆にチャンスのある会社にしたいと考えています。
 ーーイムズに出店されている「野の葡萄」は女性に評判がいいですね。バイキング形式ですが、品数が随分多いですね。
 小役丸 そう言って頂くとうれしいですね。ただ、私はバイキングいう言葉はあまり好きではないんです。食べ散らかすというのではなく、食事はもっと優雅に食べるものだと思っています。ですから私は「好きなものを好きなだけ」と言っているんです。その日の体調によって肉が食べたかったり、魚や野菜類が食べたかったりすると思うんです。それで旬の総菜を約80種類並べています。
 ーーヘルシーなものが多いし、取り皿が小さいのもいいですね。少しずついろんなものを楽しめますから。


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