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「人を信用すれば企業が生きてくる」
〜公協産業グループ・國廣秀司会長の経営哲学(4)


産廃と農業と福祉を結び付けたい

 國廣氏は公協産業の経営を後継者に任し、公協グループの会長として全体を見ているが、先にも述べたように信用して任せた以上、細かい報告は求めず、思い切ってやらせる方針。現在、本社に会長室はもちろん自身の机も椅子も置かず、他の場所に小さな事務所を構え、そこで農業関連事業に注力している。
 産廃と農業と聞いても関連性が思い浮かばないが、農業分野に進出して、すでに10年近くがたつ。

 なぜ農業なのか。きっかけは何だったのか。
「土地を持っているから遊ばさないことを考えたんです」と國廣氏。
 いやいやそれなら他の分野でも、と思ってしまう。
「工場が手狭になったので拡げたいなと思って工事をしていた時、大水で川の水位が上がってブロック塀が隣の田んぼに倒れたんです」
 申し訳ない、補償をしますからと謝りに行くと「3年間はコメが作れないだろう」
と言われ、分かりました、と3年間の補償金を払ったが、この際、「土地を売ってくれないか」と申し出た。
 すると「農地法で農家以外には売ることができないと決められている」と言われ、農地法を調べて「農家取得をした」。

 何かを行う時、中途半端に取り掛からないのが國廣氏だが、この人の場合には常に「偶然」と「幸運」が付いて回っているいるように思える。そもそも産廃に進出するきっかけになった廃油回収・販売事業にしてからがそうだ。もともと全く違った分野に進む予定だったのが「学生時代の友達」に熱心に勧誘されて「転職」したのが始まりだった。
 公協産業設立直後は石灰業界、オハヨー乳業という得意先を掴み、なかでもオハヨー乳業にはキャッシュ払いという感じで資金面で助けられたし、「時代屋」といううどん屋を20年前に開店したのも、いわば土地利用から思いついたところに人との出会いがあって始めた事業だ。
 そして農業分野への進出はブロック塀が田に倒れたという偶然から始まっている。もし、あの時ブロック塀が田の方に倒れていなければ恐らく農業分野への進出はなかったに違いない。
 そして、いずれの分野でも大きな方向性を示した後は「信用して任せ」、細かい報告は求めず、思い切りやらせている。

 現在、農業は農業生産法人を設立し、主にミニトマトの栽培を行っているが、そのほかにドラゴンフルーツや梅など様々なものを手がけている。いずれも無農薬、有機栽培だ。
「農業は牛窓町(岡山県瀬戸市)に集中させようとしている。できれば10町歩、30町歩、100町歩まで持っていきたい」
 と言う。
 「ゴミは堆肥になるから農業で活かせるんです」
 なるほど、ここでやっと産廃と農業の関連性が見えてきたと思っていると、さらにその先を考え、実験していた。
 「行く行くは観光農園を目指しているんです。観光農園にして人を呼び寄せたい」
と、地域おこしをその先に見据えていた。
 「高齢者の生きがいづくりにも農業は貢献できると考えているんです。なにもフル労働をする必要はない。自由な時間に来てフレキシブルに働いてもらえばいいんです」
 これが実現した時、完全リサイクルの人(労働)、モノ、カネの地域循環型社会が出来上がるに違いない。全国各地でそんな社会が出現することを望みたい。


[公協グループ]
 公協産業株式会社
  岡山市東区中尾126-4
   産業廃棄物の中間処理(リサイクル)・収集・運搬
 公協石油化学株式会社
  岡山市東区中尾126-4
   廃油等の収集・再生重油販売
 AGRIブロードカントリー株式会社
  岡山市東区上道北方316
   農産物の生産・加工・販売
 グリーンエンジニアリング株式会社
  岡山市東区中尾126-4
   各種プラントの開発・設計・施工



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