−−店舗のスタイルが各店まちまちで統一されていませんが、なにか理由がありますか。例えば場所によるとか、あるいは他の理由とか。
岩田 いままでは1年に1店出店するペースで来ていましたから、その時点の流行だとか社会の流れみたいなものもあります。それで、その時点でいいなと思うものを取り入れてきたというのが1つです。
もう1つはお客さんの要望を取り入れて、店を広くしてくれとか、こういうものが欲しいといったような要望を取り入れて店を作っていたら、店のサイズも形も変わっていったというのが実状です。
この辺では「つるや」といえば認知度もありますし、わざと変えていったという面もあります。
昨年から各店を順に改装して行っているんですが、今は少し統一感を出すようにしています。15店中9店リニューアルが終わり、残り6店をこれからリニューアルしていこうとしています。
−−地域密着で顧客ニーズに応えた結果ということですね。こういうスタイルも面白いと思いますけどね。
店舗も運営スタイルも全国同じ、一律で展開しているコンビニあたりが今、逆に地域密着、店舗の独自性を多少認めようという動きになっていますね。そういう意味では「つるや」さんの動きは1周遅れのトップランナーという言葉もありますが、時代に合っていると思います。
直営店と仕出し事業が2本柱
−−今後、店舗展開やエリアについてはどうお考えですか。
岩田 今考えているのは飛び石ではなく県北から繋げていきたい、今ある店舗の延長線上に、繋がる形で1店ずつ増やしていきたいと考えています。立地が全てですから立地調査をして可能性があれば出店していきたいと考えています。
−−なにか具体的な場所はおありですか。
岩田 新見に出店したいと考えてはいるんですが。卸、仕出し関係では行っているからエリアと言えばすでにエリアになっているんですが、実店舗がないから。
ただ、無茶な拡大は考えていません。既存店舗をしっかり守ってやっていくというのをベースにしています。
−−仕出し関係ですでに進出しているというのは?
岩田 店売りとチラシ注文の2本柱で創業当初からきています。チラシによる別注が案外多いんです。お盆時期やおせち、祭りや運動会、会議用の弁当などの需要が結構あります。売り上げの3割程度を占めていますから。
−−それは大きいですね。
岩田 これは無店舗販売ですから、今後も力を入れていきたいと考えています。
−−その場合、配達はどうされていますか。
岩田 本社工場で作り直接配達するパターンと、店が近い方は近くの店まで配送し、その店に取りに来ていただくパターンがあります。
出来たてのよさを提供する専門店として
−−今後、コンビニ等との競合も増えていくと思いますが、どう差別化していきますか。
岩田 外で食べる外食に対し、家で食べるのが内食と言われ、うちらの業界は総菜を買って家に持ち帰って食べる中食(なかしょく)で、外食と内食の中間に位置しているわけです。外食市場は落ちていますが、中食は唯一伸びている市場です。大体10兆円市場と言われています。
今後、少子高齢化、女性の社会進出、単身世帯の増加で、家で食事を作って食べる内食も減っていくと思いますが、中食業界はますます伸びると思いますね。ただ、一口に中食と言ってもコンビニなどではチルドや冷食と言った1、2日から数日は日持ちがするような食材が増えているように、中食の内容も今後はさらに多様化していくと思います。
では、うちらがそういうところにまで手を出していくかということですが、それより出来たてにこだわり、出来たてのよさを提供する専門店として生きていく。やがてコンビニも出来たての部分に挑戦してくるかも分かりませんが、この分野がFCで儲かるかというとなかなか利益は出せないだろう、と。
−−なんでもかんでもコンビニ化すると消費者にとっても面白くはありません。ぜひ出来たてにこだわりながら、あまり拡大主義に走らずに行ってもらいたいなと思います。
<企業情報>
株式会社つるや
代表取締役社長 岩田正人
本社 岡山県津山市上村80
直営店事業 15店
岡山県北へ直営店を出店。コンビニの便利さ・気軽さ、弁当専門店の手作り感、定食屋さんの美味しさを兼ね備えた店舗を運営
仕出し事業
慶事・弔事、その他各種宴会などの料理を用意
給食事業
日替わりランチを一般企業等へ配達
|