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博多の文化・歴史を記した「博多手帳」を
20数年も発行し続けている慶和印刷


慶和印刷(株) 代表取締役 前田福一 氏
福岡市博多区東那珂1−15−1 / tel  092-474-4881

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出張族や博ちょん族はもちろん
博多っ子にも重宝な1冊

 例年この季節になると書店や文房具売り場の店頭に来年の手帳が数多く並べられる。薄くて縦長のもの、四角に近い形、分厚いタイプと形だけでもいろいろある。さらに中のページも1週間分が見開きになったもの、片側がメモ形式になったもの、1カ月のカレンダー表示など種類も多く、手帳を買おうと手にすると迷いそうだ。そんな数ある手帳の中でも、ユニークさと実用性でファンから根強く愛されているのが「博多手帳」である。発行は泣Aド・ビューロ・ケイワ。慶和印刷鰍フ関連会社だ。
 「博多手帳」を初めて発行したのはいまから17年前。小学校は博多・奈良屋小学校に通ったという生っ粋の博多っ子、前田福一社長が「若い人にも博多のことを知って欲しい」と、博多の名所旧跡や博多の行事、名産物を紹介した手帳を作ったのが始まりである。
 「そんなに数多く作っているわけではないし、製作が大変だから、毎年のように今年はやめにすると社内で言うんですが、お客さんから『今年も楽しみにしているけんな』と言われると、その言葉がうれしくてまた作っています」
 博多の文化・歴史の紹介だけでなく博多にわかや博多なぞ、「黒田節」「博多祝い唄」などの博多の歌も紹介されている。収録されている博多にわかは博多仁和加振興会によって選ばれた作品であり、博多なぞも「博多なぞの会」の作品。また毎月の扉ページの写真は市民の作品を掲載するなど「いろんな方々の協力」でできている。
 これは便利と感じるのは各区役所、保健所、図書館、美術館、体育館、各種イベント会場、交通機関の電話番号が収録されていること。さらに市内のほとんどのホテル所在地と電話番号まで載っており、出張族や「博ちょん族」には大いに喜ばれそうだ。また、福岡生まれの人や福岡に長年住んでいる人でも地元のことは意外と知らないものだけにお勧めの1冊。しかも、月間スケジュールページ、見開き1週間ページなど、手帳としての実用性もしっかり備えている。

受注産業から脱却し
企画提案型企業へ

 現在、印刷業界を取り巻く環境はデジタル化の波に襲われ、激変しつつある。すでに今年、市内だけで5、6社が廃業したといわれている。「老舗だから大丈夫ということはない」(前田社長)だけに、同社も安閑とはしていられないと言う。観光パンフレット類、学校案内類、会社カタログ類が同社の主要な印刷物だが、「1社に偏らない」ようにして、できるだけリスクを分散する戦略。さらに紙媒体への印刷という従来の印刷業の範疇にとどまることなく、CD−ROMも含めデジタル媒体の比重を高めるなど、新時代への対応も怠りない。
 「受注産業から脱却し、企画提案型へいかに移行できるかが今後勝負になる」
 と前田社長。
 今後は印刷機械などのハード投資は極力せず、コンピューターを含むソフト部門に投資していく方針。現在、ソフト部門を担っているのが企画会社のアド・ビューロ・ケイワ。すでに子息の慶弥氏が社長を務めているが、2年後には慶和印刷の社長も譲る予定。
 「65歳で社長を引退するとは以前から公言しています。その時は専務もともに引退し、あとは若い者に任せたい」
 後継体制への移行も着実に進んでおり、業界の中堅を担う同社への期待も高まっている。 


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